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  • 2014/01/15 掲載
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Linuxの適用領域が拡大している。そのコストメリット、そのオープン性を評価して採用する企業が増え、その対象も周辺アプリケーションから基幹アプリケーション、ビッグデータ対応アプリケーションへと広まっているのだ。そして、サーバ統合やクラウドにつながる仮想化推進の流れの中で、Linuxの基盤強化が課題となっている。従来のスケールアウト手法だけではもう立ち行かない。そうした中、ハードウェアアーキテクチャに決定的な差を持ち、これまでの常識をくつがえす高性能サーバがスポットライトを浴びている。

広がり続けるLinuxの適用領域

 思えばLinuxは、はるかな道をやってきた。最初は、“現象”だった。オープンとはいいながらもOSベンダーの意のままにならざるを得ないオープンシステムの世界に、一石を投じるための。

 しかし、Linuxはその地位に甘んじることなく、次第に企業システムに導入され始めた。初めはコストを抑制する観点で、そのころはまだ周辺システムとして位置づけられていたメールサーバや、ファイルサーバの土台を担いだしたのである。

 使ってみると、確かに初期コストやソフトウェアコストを大きく抑えられる。ただ、黎明期はLinuxに精通した技術者がまだまだ少なく、ビジネスとしてこの環境をサポートするシステムインテグレータも限られていたので、適用領域はある限定された範囲にとどまり、適用する企業も新しいテクノロジーに抵抗のない一部の企業にとどまるだろうという推測が主流を占めていた。

 しかし、Linuxはそこで終わらなかった。企業のコスト削減要求は止むことなく、それを見てとったITベンダーは、企業向けアプリケーションのLinux対応を推し進めた。それはCRMやグループウェアといった情報系に加え、ERPといった基幹系分野にまで及び、そうなると、サポートを宣言するシステムインテグレータも増加。やがてLinuxはいつも候補に上るOSの選択肢の一つとなった。

 そして同時に台頭してきたのが仮想化テクノロジーだ。世界大不況が一大契機となって、企業の多くが一段とコスト削減を求めるようになった。その手段として大活躍したのが仮想化テクノロジーを使ったサーバ統合で、そこでもLinuxは統合サーバのホストOSに採用されたのだ。

 ここでハタと気づいたのが仮想化環境における性能・拡張性・堅牢性の問題である。サーバ統合を実現すると効率は良くなったように感じるが、統合したサーバには相当な能力がないと統合の対象となったすべての業務に支障をきたす。今やこのOS上には基幹といえるアプリケーションまで搭載されているからだ。

 それまでLinuxサーバの適用範囲が拡大するにつれ、安価なx86サーバを並べて分散処理するスケールアウト方式が常套手段だった。今までは周辺アプリケーションだったから、それでも何とか対応できたが、もう“落ちない”ことが求められる堅牢性、信頼性も必要だ。このまま管理の手間を増やしながら、運用コストを費やしながら、サーバの台数を増やし続けるのか。これまで常識だと考えていたことにも踏み込んで、根本からLinuxサーバの在り方を振り返る必要が生じている。

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IBM PowerLinuxという選択肢

 Linuxといえばx86サーバと思いがちだが、実はLinuxならではのオープン性を活かした物理サーバの選択肢が他にもある。その1つが、IBM Power Systemsの新しいLinuxポートフォリオである「PowerLinux」である。これはIBMのメインフレーム技術を応用した堅牢なサーバであり、高性能なIBM POWERプロセッサの上でRed Hat Enterprise LinuxやSUSE Linux Enterprise Server、MIRACLE LINUXやフリーのLinuxディストリビューションを稼動させることができる。これ1台で膨大なワークロードを同時並行で稼動可能であるとともに、ビジネス要件に応じて最適な資源配分も自動的に行える。

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IBM Power Systems のLinuxポートフォリオ

 テーマとなっている仮想化テクノロジーにおいても、IBMは1967年にメインフレーム向けの仮想化テクノロジーを開発してから40年以上にわたり、営々とこの領域の研究を続けてきた。Power Systemsでの実現に当たっては、1990年代後半にメインフレームの仮想化開発チームが、このハードウェアにおける最適化設計を行っている。このOSの世界的な成功をいち早くみてとった設計開発チームは、持てるパワーを一気にここへ振り向けている。

 それだけに、POWERに最適化されたIBMの仮想化テクノロジー「PowerVM」の完成度は高い。プロセッサやメモリーに関する仮想化機能を中心に、ほとんどのコア技術をハードウェア上のファームウェアに実装しており、仮想化による性能劣化を気にすることなく、システム資源を最大限に活用可能。アプリケーションの負荷に応じて、システムを止めることなくプロセッサやメモリー資源を仮想サーバ間で瞬時に融通でき、柔軟でダイナミックなITインフラを構築することが可能である。

また、I/Oやネットワーク資源の割り当ては、各仮想サーバへのダイレクト接続に加え、VIOS機能による仮想資源として提供が可能である。VIOSは複数実装可能で、たとえば、仮想サーバからストレージ・コントローラーに対する経路は複数確保できる。データベース・サーバなど、重要なデータを扱うシステムの堅牢性を仮想化環境で確保したいのであれば、ぜひ検討したい機能である。

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IBM PowerVMと他の仮想化技術の違い

 しかも、他の仮想化プラットフォームでは数件~数百件も報告されている脆弱性が、PowerVMは今のところ1件もない。サーバ統合を進めれば進めるほど、ホスト環境の重要性が高まるため、仮想化プラットフォームの脆弱性は看過できない。そのため、何かあればただちに対応することになるが、その工数負荷は運用担当者にとってかなり負担である。それが存在しないのだから、この差は非常に大きい。

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脆弱性報告ゼロ件のセキュアな仮想化環境

 “そうはいってもPOWERプロセッサ搭載のサーバは価格が…”と思われる読者もいることだろう。しかし、PowerLinuxはx86サーバに対して価格競争力も十分に持っている。たとえば、サーバ仮想化利用を前提としてサーバ統合用x86サーバでも、PowerLinuxと同等の性能を発揮できる構成に仮想化ソフトウェアの価格を追加していくと、PowerLinuxの価格に対抗できるものを見つけるのは難しいのではないだろうか。

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クラウド、ビッグデータ時代に先んじる同社のサポート施策

 最近は、仮想化テクノロジーによるサーバ統合は第一歩で、プライベートクラウドやビッグデータ活用へと歩みを進めている企業も多いことだろう。IBMはこの動きを先んじるべく、あらゆる角度からサポート施策を拡充している。

 まず、PowerLinuxはLinuxの多彩なディストリビューションに対応しており、そのディストリビューションにはx86サーバ向けのディストリビューションに含まれている数多くのオープンソースLinuxアプリケーションが含まれている。

 また、同社自身、PowerLinux対応ソリューションを続々と増やしている。ソーシャルメディアなどを始めとしたストリーミング・データを分析し、効果的に活用するInfoSphere Streamsや、Apache Hadoopの機能を企業環境で最大限に活用するエンタープライズ・ソリューションであるInfoSphere BigInsightsなどがその代表例で、すでにIBMソフトウェアの140種類以上が対応済だ。

 さらに、市場でさまざまなLinuxソリューションを展開している、ISVとの協業強化もその一つだ。同社は“エコシステムの拡大”や、オープンソース技術を組み合わせた新しいアプリケーション開発と展開の加速を目的として、2013年10月1日に世界で5番目となるPower Systems Linuxセンターを開設している。これにより、体制面からもLinuxサポートを強めている。

 エコシステム拡大の例として、エクサの検索アプライアンス「Solr on PowerLinux」は代表的な果実の1つである。ビッグデータ活用において、検索は非常に基本的な分析手法だ。同社はこのソリューションの最適化に当たってさまざまなハードウェアを試す中、PowerLinuxのあまりの性能に驚いてアプライアンス化を決定した。

 下記の図はその性能を示したグラフだが、x86 Linuxに比べて圧倒的に高い性能を示す結果となっている。エクサは Solr on PowerLinuxを紹介する中で、「検索エンジンはスケールアウトにより性能向上を実現するが、その際にサーバの追加がコストや運用の高いハードルになっていた。PowerLinuxの仮想サーバを使用することで、サーバを追加で増やさずに運用の負荷をおさえ、検索の性能向上を実現することができた」としている。

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Apache Solrによる検索性能の違い

 Linuxサーバとして当たり前だと感じていた課題や、こうなったら良いのにといった要望は、PowerLinuxという身近にある選択肢によって解決できる可能性が高いことが、今回の取材で明らかになった。今後、ますますPowerLinuxに対応したソリューションの拡充も期待でき、Linuxの採用を検討する際は、必ずPowerLinuxを見てから熟慮されることをお勧めしたい。

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