浮かび上がってきたRPAの“課題”
近年、日本は急激に生産年齢人口が減少している。出生率も想定を上回る速さで減り続けており、いまや90万人を割り込んでいる状況だ。一方で、長時間勤務や過労死といった社会問題もクローズアップされ、「働き方改革」の強い要請も生じている。
労働時間が少なくなっても、企業は常に利益を上げなければならない。そうなると「いかに限られた時間で労働生産性を高めながら、効率の良い仕事をするのか」という点が大きな課題になる。
このようなタイミングで登場したのが「RPA」(Robotic Process Automation)である。RPAは、人間がコンピューター上で行う作業や処理を自動化するソフトウェアだ。他のITソリューションと比べて分かりやすく、目に見える形で効果が現れる。
高度なプログラミング能力がなくても、比較的簡単にソフトウェアロボット(Bot:ボット)を開発できるため、大仰なシステム開発では割に合わなかった「スキマ業務」をRPAで埋められる。業務時間の短縮や、働き方改革にもマッチするため、多くの企業で導入が進んでいる。
だが、このように良いとこ尽くしに思えるRPAも、普及が進むにつれていくつか課題が見えてきた。
実は、国内やグローバルで8割~9割の大企業がすでに何らかのRPAを導入しているにも関わらず、導入企業のうち本番環境で50以上のボットを使っている企業は、まだ全体の約5%に過ぎないという。つまり、全社展開している企業は、ほんの一握りに過ぎないのが実情ということだ。
またRPAを開発する際の責任や役割分担のほか、「野良ボット」などのセキュリティ対策や、管理面の問題も浮上してきている。
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・オラクル、SAP、セールスフォースなどよく利用される業務システムのボット部品があらかじめ用意されている
・39部署・460業務にRPAを展開し、13万2,000時間を削減した事例も