「エッジコンピューティング導入」には何が必要? 工場のデジタル化を実現するには
IoTの進展により重要性が高まる「エッジコンピューティング」
IoTなどで取得した、さまざまなセンサーデータの活用が進んでいる。特に製造業の現場で注目されているのが「工場のデジタル化」だ。工場のデジタル化は2つのニーズにより推進されている。1つは製品を使う事業者やユーザーが求める価格優位性や納期の速さ、多品種・少量生産などの価値に関する「市場のニーズ」である。そして2つ目が工場の稼働状況を可視化し、稼働率を高めて歩留まりを高めたり、オペレーションの自動化、無人化により生産効率を向上させたりする「製造現場のニーズ」だ。
市場と製造現場のニーズに応えるには、より多くのデータをリアルタイムに活用することが求められる。そこで、工事現場のIoTセンサーの近くでデータを分散処理することで処理能力を高める「エッジコンピューティング」に取り組む企業が増えている。
データを蓄積、活用するためにクラウド接続の負荷を下げてコストを最適化し、リアルタイムなデータ活用のメリットを最大限に発揮するためである。製造業におけるIT、OT(Operational Technology:制御・運用技術)担当者の約7割(73%)が「エッジコンピューティングを実装済み、または実装計画がある」と回答したという数字もあるほどだ(日本ストラタステクノロジー調査)。
しかし、この調査では同時に「エッジコンピューティング導入」の際、(1)予算不足(費用対効果の課題)、(2)セキュリティ上の懸念、(3)効果的なユースケースの選定、(4)スキル不足、という4つの課題があるとも指摘している。
たとえば、「工場のデジタル化へ、何から着手すべきかわからない」という声が聞かれるが、これは「スキル不足」や「効果的な対象領域の選定」などの課題が背景にある。また、「現場で使うハードウェアが老朽化し、セキュリティや接続コストの観点で問題がある」というのは、「コスト」「セキュリティ」の課題だということができる。
こうした課題の解決を難しくする最も大きな要因は、「投資対効果が見えない」ということだ。では、どのようなエッジコンピューティング環境なら、4つの課題を解決し、投資を回収できるのだろうか。
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