電話離れで「若者の声が聞こえてこない!」
1946年創業のカルビーは、「かっぱえびせん」「ポテトチップス」など、日本人なら誰でも知っているお菓子のメーカーとして知られている。
同時に同社は、ITやマーケティングに強い会社としても有名だ。その先進的な取り組みが数多くメディアで取り上げられ、「マーケティング実力ランキング300」(2018年・日経クロストレンド実施)で1位を獲得するなど、ITを駆使したマーケティングに長(た)けた会社というイメージを持つ方も多いだろう。
「VOC(顧客の声)を拾い、製品開発にフィードバックする」というのは、「お客様相談室」にとって非常に重要な役割である。しかし、同社お客様相談室では、肝心の問い合わせが年々減ってきているという問題があった。
「お客様相談室」は、VOC:顧客の声(同社の商品・サービスに対する興味・意見・感想等)を消費者から直接受け付けている部門である。またVOCの活用は、同社が最も力を入れている取り組みの1つである。本社だけでなく、全国7支店に設置され、届いた声は役員をはじめとする各部門に迅速に共有される仕組みが構築されている。コーポレートコミュニケーション本部 お客様相談室 室長 遠田 氏は、次のように説明する。
「お客様相談室の相談受付件数は、年々減少しており、特に電話での問い合わせが減っていました。苦情が減っているとポジティブにとらえることもできますが、声が減っているということは、弊社への関心が下がっていると見ることもできます。そもそも、お客様の声がないと、企業活動に生かすこともできません。そこで、24時間365日対応が可能なAIチャットボットを導入し、顧客接点を広げ、より多くのVOCから顧客の関心を探りたいと考えたのがプロジェクトの始まりです」(遠田氏)
電話での問い合わせが減った背景には、若者の電話離れがあることが考えられる。特にデジタルネイティブ世代は、電話でのコミュニケーションを嫌う傾向にある。電話、メール、チャットを選べるとしたら、チャットを選ぶ可能性が高い。顧客の声を大切にする同社にとって、お菓子の消費量が比較的多い若者の声が減っていることは大きな“危機感”につながっていたのである。
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・カルビーが選んだチャットボット、その決め手は?
・有人との組み合わせで業務効率化、顧客満足度向上を目指す