マルチクラウド時代は「データのモビリティ」が求められる
ニコラス・G・カー氏は、12年前の自著『クラウド化する世界』の中で、「(クラウドは)商品を物理的な形態やコストから解き放った、インターネットと情報産業がもたらす新しい経済である」と予言した。現在まさにクラウドは電力や水道のように、我々の生活に必要不可欠なインフラになっている。
そして図らずも、今回のコロナ禍でリモートワークやオンラインイベントも当たり前に行われるようになった。これらが「新しい日常」になり、クラウドはより身近な存在へと変わっている。
クラウドは、その形態によってパブリックとプライベートに分けられる。両者を併用するハイブリッドクラウドや、最近では複数のクラウドを活用するマルチクラウドも見られる。
このように複数のクラウドを利用することが多くなった昨今、それぞれの環境をデータが頻繁に行き交う「データのモビリティ」が求められるようになっている。たとえば、オンプレミスのテスト環境をクラウドに持っていったり、逆にクラウドからオンプレミスへマイグレーションしたり、またデータを保管するためにクラウドからクラウドへ移行するといったこともあるだろう。
このように、企業も個人もクラウド利用が当たり前になった社会では、データの移行のしやすさや、万が一何かあった場合に備えてデータをしっかりと復旧できるかどうか、という視点が大切になる。
つまり、改めて「マルチクラウド時代のデータマネジメント」を問い直すことの重要性が浮き彫りになっているのだ。
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