問題の背後にあるメカニズムを解き明かさなければ、
真因にはたどりつけない
相澤 利彦氏は、ブーズ・アレン&ハミルトンとアクセンチュアで経営コンサルタントに従事した後、ダイエー取締役、am/pmジャパン(現ファミリーマート)の代表取締役として両社の再建に携わった経歴を持つ。その後、2009年にTSUNAGU・パートナーズを設立し、さまざまな企業の経営アドバイザリーを歴任し、現在にいたる。
相澤氏は、小売業をはじめとした、さまざまな企業の情報戦略コンサルティングに携わる中で、企業がデータ分析を活用する際に陥りやすい、ひとつのパターンがあることに注目した。それは、何らかの問題が発生したとき、十分な分析を行わず、いきなり解決策に飛んでしまう企業が非常に多いという点だ。
「問題の背後には、必ずそれが発生する構造(メカニズム)が存在します。それを解き明かさないと真因にはたどり着けません。真因を理解して、はじめて正しい解決策が得られます。そのためには、症状 → メカニズム → 真因 → 解決策 → 実行というドリルダウンが重要ですが、それを行わないで、症状からいきなり解決策に飛んでしまい、間違った解決策を実行している企業が非常に多いのです」(相澤氏)
相澤氏は、1つの例として、以前コンビニエンス ストアの店舗の分析を行っていた時に直面した、「コンビニの弁当」の事例を挙げる。当時、そのコンビニでは2種類の弁当を展開していた。1つは通常の「コンビニ弁当」、もう1つは化学調味料や着色料を使わず、顧客のオーダーが入ってから加熱調理する「冷凍弁当」であった。
あるとき、部下から「通常の弁当に比べて、冷凍弁当は購買単価が低く、併売点数も少ないので、発売停止にしませんか」という提案が上がってきたそうだ。そこで、相澤氏は、さらなる調査と分析を指示。その結果、導かれたのは、部下の提言とは正反対の解決策であったという。
データの深掘りによって「撤退」から「強化」へと
180度変わった結論