急速に進む企業ネットワークのワイヤレス化
現在、日本の一般家庭における光回線の普及率は世界トップクラスだ。高速通信が各戸に行き渡り、高解像度の動画も楽しめる環境が整備されている。同時にネットワークのワイヤレス化も進んでいる。スマートフォンやタブレットはもちろん、ノートパソコンでも有線LANポートを持たない機種が増加し、敷設された光ファイバーネットワークを使いながら、フロントはワイヤレス化する流れが主流となりつつある。
ネットワークのワイヤレス化は、企業にも広がっている。スマートフォンやタブレットなどのモバイル活用はもちろん、ワークスタイル変革の一環としてオフィスをフリーアドレス化する際にも、ネットワークのワイヤレス化は欠かせない。さらに今後は、IoTがこの流れを加速するだろうと、江崎氏は次のように説明する。
「インダストリー4.0の最も大きいマーケットは中小企業の工場です。今後は、機械に組み込まれたセンサーで取得されたデータが、無線ネットワークを通じてクラウドに集約され、分析できるようになります。したがって、今後はこれまでネットワークの入っていなかった場所にも、無線ネットワークが広がっていきます」(江崎氏)
IoTもしくはモバイルとクラウド、それを支える無線ネットワークの組み合わせは、その他の分野でもさまざまな変革を起こしつつある。その1つの例が小売業界におけるPOSシステムだ。
「従来のPOSシステムは、初期投資が数十万かかっていました。しかし、現在は、クラウドとiPadを組み合わせることで、非常に安価に実現できます。しかも、クラウドでシステムを柔軟に変更できるので、たとえば、関税などの仕組みが変更されても、クラウド側でシステムを変更するだけで柔軟に対応することが可能です」(江崎氏)
これもモバイルと無線ネットワーク、そしてクラウドの組み合わせが、従来の仕組みを変革しつつある例といえるだろう。