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  • 2018/11/12
 東大 目黒教授に聞く「本当のBCP」 企業の事業継続計画が役に立たない理由

2018年は豪雪から始まり、西日本豪雨や夏の猛暑、全国を繰り返し襲った台風、大阪府北部や北海道胆振東部の地震など、自然災害の多発した年となった。政府中央防災会議は首都直下地震の直後被害総額を95兆円、南海トラフの巨大地震では220兆円と見積もっている。土木学会は20年間の長期経済損失を試算し、それぞれ、778兆円、1,410兆円とした。大規模自然災害の軽減や企業の事業継続のカギはどこにあるのか。東京大学教授で都市震災軽減工学の専門家である目黒公郎氏に、企業がBCPを適切に実行するポイントや、テクノロジーをどのように活用すべきかを聞いた。

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東京大学教授
生産技術研究所都市基盤安全工学国際研究センター長
目黒公郎氏
専門は都市震災軽減工学/都市防災マネジメント。地震を中心とするハザードが社会に与える損失の最小化のためのハードとソフトの両面からの戦略研究。研究テーマは、災害リスクマネジメント、ユニバーサル地震災害環境シミュレーション、防災制度設計、防災マニュアル/災害情報システム、災害時最適人材運用法、国際防災戦略など。「現場を見る」「実践的な研究」「最重要課題からタックル」がモットー。途上国の防災立ち上げ活動にも従事。論文、著書多数。

「想像できないこと」に対し適切に備え、対応することは不可能

 2016年の熊本地震や2018年の北海道胆振東部地震など、震度7クラスの強い地震動を伴う地震が頻発している。そして、大雨による土砂災害や洪水災害は「地球温暖化の影響を受けているという見解を示す専門家もいる」と目黒氏は述べる。

「地球の平均温度が上がることで、気象現象の“振れ幅”が大きくなる。2018年も西日本豪雨で大きな被害が出ましたが、48時間で400~500ミリ超といった大量の雨が頻繁に降るような事態はこれまであまり例がありません」(目黒氏)

 こうした大洪水や大規模な干ばつといった極端な自然現象に対しては、インフラを整備するといった「ハード面」ですぐに対応することが難しい。

 では、こうした被害をいかに軽減するのか。目黒氏は、企業が災害対策を適切に立案、実行するには「災害イマジネーション」が不可欠だと指摘する。

 災害イマジネーションとは、「対象地域の特徴と発災時の条件を踏まえた上で、発災からの時間経過にともなう災害状況を適切に想像できる力」のことだ。特に、災害に責任を持って対応すべき立場にある人には、高い災害イマジネーションが求められる。

 目黒氏は、「『自分が想像できないこと』に対し適切に備え、対応することなど絶対にできない」と断言する。

 災害現象のメカニズムは「インプット→システム→アウトプット」の関係で捉えると分かりやすい。インプットは地震動や津波などの自然の脅威(ハザード)そのものだ。

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災害現象のメカニズム
(出典:目黒氏 資料から編集部が作成)

 これが対象地域の地域特性(社会システム)を介して、アウトプット(物理的・社会的な現象)として現れ、さらにある閾値(限界値)を超えると、被害や災害(ディザスター)となる。

「地域特性は、地質や気候、地形といった自然条件で決まる自然環境特性と、人口分布/密度やインフラの特徴、政治、経済、文化、法制度など、人間依存の条件である社会環境特性から構成されます。この両者でその地域の人々の生活スタイルが決定します。これに季節や曜日、時間帯といった時間的条件を踏まえた上で、発災からの時間経過とともに、何が起こるかを想像できなければなりません」(目黒氏)

 この想像力がないがために、良かれと思って立案した災害対策や制度がまったく効果を発揮しなかったり、むしろマイナスの効果を持ったりする場合があるという。

 では、どのように備えれば被害を最小化できるのだろうか。

この記事の続き >>
・事業継続は「目的」ではない、企業ミッションを実現する手段だ
・防災対策は「コスト」から「バリュー」へ
・有事の「最適な人材配置」を考える
・災害時の「リモートワーク」をどう機能させるか

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