コロナ禍前のデータはまるで使えなくなった
──実際に店舗を構えている小売業の立場から見て、新型コロナウイルスの影響はどのように現れていますか。
トライアル 永田氏(以下、永田氏):コロナ禍前とでは、生活様式も消費動向もすべて変わってしまいました。「売れるもの」が大きく変わっているのです。そのような状況なので、コロナ禍前のデータが使えなくなっています。少なくとも今年に関しては、「昨対比(昨年対比)」という概念はありません。売り場をまったく新しく作らなければならない状況です。
また「新しい生活様式」の浸透もあって、人との接触を避けたいと考えるお客さまが増えたのでしょう。店内滞在時間が極端に短くなりました。接触を減らしながら、売れる商品をどうやって提供するのかを考えなければいけなくなったわけです。
そのためにはDXを推進し、デジタルデータを収集することが前提となりました。今までは「DXは導入した方がいいよね」という雰囲気でしたが、もはや「導入しなくてはこの危機に対応できない」となったのです。
──メーカーの立場からはどのような変化が見えているのでしょうか?
サントリー 中村直人氏(以下、中村氏):サントリーグループ全体で、コロナ禍は戦略を大きく見直すきっかけとなりました。
この記事の続き >>
・変わる世界で勝ち残るために「顧客体験」をどう捉え直すのか?
・なぜ企業の垣根を超え、サプライチェーン全体でデータを集めるのか
・デジタルを活用することで「圧倒的に有意義」な購買体験を