トーア紡はIoT導入によるDXをどのように進めたのか?
2020年に経済産業省が公開した『ものづくり白書』には、製造業のDXについて「コネクテッド・インダストリーズ」がコンセプトとして掲げられている。機械や技術、人などさまざまなモノをつなげることで、新たな付加価値創出と社会課題の解決を目指すという内容だ。
トーア紡の執行役員でIT推進部長でもある中井邦義氏は、IoTを「PCやスマートフォンなどの情報機器に限らず、すべてのモノがインターネットにつながることで、生活やビジネスが根底から変わるという概念」と「コネクテッド・インダストリーズ」のコンセプトは同義であると位置づけ、その実行手順を次のように語った。
「まずモノにセンサーを付け、デジタルデータを得るセンシングを実施します。次にそのデータをクラウドに蓄積し、AIなどを使ってクラウド上で分析して、その結果を『アクチュエート』します。これは、機械が人に問いかける、機械と人が会話をするといったイメージです。このサイクルを回していくことで、現場の人が育ち、価値ある情報もどんどん出てくるようになります」(中井氏)
理想的な姿は、センサーなど機器からのフィードバックを受け、新たな価値創造や事業戦略へのデータ活用などが可能になることだ。トーア紡では製造現場でIoT導入によるDXをどのように進めていったのか。中井氏はそのポイントについて、自社の事例を紐解きながら詳しく説明した。
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・先入観を捨てて現場を見て、小さく始める
・IoT導入で電力需要を可視化。消費電力を10%削減し1年でコスト回収
・小さな成功事例が社内に浸透し、薬品反応窯の温度、紡績工場の湿度管理、不織布の不良などに展開