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- 2022/11/11 掲載
日銀の「超」緩和的政策は終了? 日本の賃金上昇が「十分にある」と言えるワケ
高まるインフレへの警戒
直近の日銀の金融政策決定会合(10月28日に結果発表)では、大方の予想どおり主要な金融政策の現状維持が決定された。消費者物価は輸入物価上昇を主因に3%を超える状況が続くものの、国内景気の回復が不十分であるとの認識から金融環境を引き締める必要性は乏しい、というこれまでの判断が維持された形だ。為替については政府の為替介入とFed(連邦準備制度)の利上げ幅縮小観測が相まって円安が一服しているため、それを理由に金融政策を修正する必要性は一段と乏しくなっている。
同時に発表された経済・物価の展望レポート(以下、展望レポート)によると2022年度の消費者物価(除く生鮮食品)は前年度比プラス2.9%へと0.6%ポイント上方修正され、2023~24年度は共にプラス1.6%とされた。
7月時点の見通しでは2023年度にプラス1.4%へと鈍化し、2024年度はプラス1.3%へとさらに鈍化すると予想されていたので、日銀内部でインフレの持続性が高まるとの認識が芽生え始めたことがうかがえる。依然として2%の物価目標達成は「一時的」であるとの見通しは維持された格好だが、一方で想定外のインフレに直面することを徐々に警戒し始めているようにもみえる。
インフレを取り巻く状況に変化の兆し
実際、インフレを取り巻く状況はここへ来て変化の兆しがある。筆者が注目しているのは賃金動向。現時点で黒田総裁は賃金上昇率が十分に高まっていないことを金融緩和継続の理由にしているが、人手不足感が強まる下で企業収益が高水準を維持している現状に鑑みると、2023年度に向けて賃金が加速度的に上昇し、日銀の想定を上回る可能性はある。その場合、消費者物価はエネルギー要因を抜きにしても1%を上回って推移するだろう。10月の展望レポートによれば生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価(日銀型コアCPI)は2023~24年度が共にプラス1.6%とされている。
仮に日銀型コアCPIのプラス1.6%という見通しに日銀自身が自信を深めるなら、現在の「超」緩和的な金融政策の修正を模索する可能性は十分にある。
【次ページ】賃金は高い伸びを実現、今後はどうなる?
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