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  • 2015/08/18 掲載

これからのビジネスに最適なスタンダードノートPCを選ぶ

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変化の激しいビジネス環境で、日々の仕事を快適かつ効率的にこなすために、どんなクライアントPC選ぶかは重要だ。もちろん、ハイスペックなPCを導入すればそれで良いという訳ではなく、イニシャル・ランニング両方のコストを見極めて、必要な性能をなるべく安く手に入れることが望ましい。最近では、ビジネスに求められるパフォーマンスを犠牲にせず、省電力性能や省スペース性も兼ね備えた15型クラスのスタンダードノートPCが安価で登場しており、企業導入の有力な選択肢の1つとなっている。今後ますます普及が進むと考えられるこのスタンダードノートPCで、企業は何を基準に選択すべきだろうか? 編集部では主要メーカーの人気4モデルをピックアップし、さまざまな角度から比較検証してみた。

(製品比較の機種選定・比較は、ビジネス+IT編集部が実施しています)
 いわゆる「スタンダードノートPC」といえば、15型クラスの比較的大きな画面、光学式ドライブを内蔵したオールインワン構成といった点が挙げられる。長時間のデスクワークにも向いている点や、幅広い用途に対応できることから、経理や事務、営業など、ビジネスの現場でもよく使われている。社外に積極的に持ち出して使うモバイルPCより、基本的には机に置いて利用する時間が長いと想定されているカテゴリーだが、最近、こうしたスタンダードノートPCにも「省電力」「薄型軽量」というトレンドが浮上している。この背景にあるのは、プロセッサーの進化だ。

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プロセッサーの進化により、省電力かつコンパクトで、パフォーマンスに優れたスタンダードノートPCが、企業のクライアントPCとして選択されつつある。
 最新のスタンダードノートPCにおいて、主力として採用されているプロセッサーは、「Broadwell-U」の開発コードネームで知られるインテルの第5世代Coreプロセッサーだ。Broadwell-Uは少し前までは「超省電力版(TDP 15W)」とされていたカテゴリーのCPUで、もしかしたら、省電力版という響きと過去のUプロセッサーの印象で、Broadwell-Uに対して性能面でネガティブなイメージを持っているビジネスマンもいるかもしれない。しかし、プロセッサーが高性能化し、より省電力を優先したカテゴリーとしてもCore MプロセッサーやAtomシリーズなどがある今、もはや「Uプロセッサー=超省電力版=パフォーマンスが劣る」という概念は完全に過去のものとなっている。

 各社のスタンダードPCの省電力化、薄型軽量トレンドには、こうした背景がある。そして、省電力であること、薄型軽量であることは、ビジネスの現場でもメリットが大きい。省電力であることは電気代というランニングコストのカットに直結する。たとえ10Whの差でも、毎日8時間、営業日245日間、1000台のPCが稼働すると仮定すれば、年間で約53万円のコスト差が生じる(公益社団法人 全国家庭電機製品公正取引協議会「新電力目安 27円/kWh(税込)」に換算した金額)。電力事情の先行きが不透明で、電気代の上昇傾向が続く日本においては、見逃せないメリットだ。そして、薄型軽量になったことにより、運用時の占有スペースが低下し、収納性や可搬性が向上し、ビジネスの現場での生産性向上にも貢献するだろう。

各メーカー4社のスタンダードノートPCを比較検証

 最新のスタンダードノートPCであれば、性能や機能はどれも似たようなものでは? と考える人もいるだろうが、実際はそうではない。たとえ同じプロセッサーを搭載していても、各メーカーの開発の思想やフォーカスするポイントによって、さまざまな違いや特色がでてくる。今回はビジネスの現場に導入するPCとして、どれが最も適切なのかという視点で、比較検証を行って明らかにしていきたい。

 今回は、各メーカーが発売している最新のオールインワン構成のスタンダードノートPCを4台集めた。50音順に紹介していくと、国内メーカーの代表モデルとしてNECのVersaPro タイプVX、東芝のSatellite B35/R、海外メーカー代表としてデルのVostro 15 3000(モデル3549)、レノボのThinkPad E550だ。このうち、NECのVersaPro タイプVXをのぞく3台はCPUに第5世代のBroadwell-Uを採用しており、前段で述べたトレンドを踏襲している。どれもBTOで基本スペックをカスタマイズしてオーダーできるため、CPUにはCore i5-5200U(2.2GHz/2.7GHz)を選び、その他も可能な限り同じになるように揃えている。基本スペックでわかること以外の、各製品の本質的な使い勝手、品質の違いをあぶり出すことが目的だ。

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今回比較したオールインワン構成のスタンダードノートPC 4台。国内メーカーの代表モデル、東芝 dynabook Satellite B35/R、NEC VersaPro タイプVX、海外メーカー代表 レノボのThinkPad E550、デル Vostro 15 3000(モデル3549)。

 なお、VersaPro タイプVXのみは、2015年発売の最新モデルながら一世代前の第4世代のMプロセッサー Core i5-4210M(2.6GHz/3.2GHz)を搭載した、いわゆる「従来型のスタンダードノートPC」といえる。NECの法人向けにはBroadwell-UのスタンダードノートPCの選択肢が存在しないためこれを代替として用意したわけだが、この比較も興味深いところだろう。

表1■基本スペック
基本スペック NEC
VersaPro タイプVX
東芝
Satellite B35/R
デル
Vostro 15 3000
レノボ
ThinkPad E550
筐体 photo photophotophoto
CPU Core i5-4210M(2.6GHz/3.2GHz) Core i5-5200U(2.2GHz/2.7GHz) Core i5-5200U(2.2GHz/2.7GHz) Core i5-5200U(2.2GHz/2.7GHz)
CPU開発コードネーム Haswell Broadwell Broadwell Broadwell
CPU TDP 37W 15W 15W 15W
メモリ容量 4GB 4GB 4GB 4GB
グラフィックス機能 Intel HD Graphics 4600 Intel HD Graphics 5500 Intel HD Graphics 5500 Intel HD Graphics 5500
液晶ディスプレイ 15.6型ノングレア(1366×768ドット) 15.6型ノングレア(1366×768ドット) 15.6型ノングレア(1366×768ドット) 15.6型ノングレア(1366×768ドット)
データストレージ 500GB HDD 500GB HDD 500GB HDD 500GB HDD
OS Windows 8.1 Pro Update 64bit Windows 8.1 Pro Update 64bit Windows 8.1 Pro Update 64bit Windows 8.1 Pro Update 64bit



 まずはパフォーマンスと、それに伴う省電力性能の検証を行う。今回はVersaPro タイプVX以外の3台はCore i5-5200Uをはじめ基本スペックを統一しているが、最近の熱設計によってもパフォーマンスが左右される(熱設計が甘い場合、ターボ機能などの効きが悪くなる)ため、スペックどおりのパフォーマンスがしっかり発揮できているかが焦点になる。

 また、VersaPro タイプVXのCPUは、TDP 37WのMプロセッサーであり、動作クロックもCore i5-5200Uに比べるとかなり高い。前世代ながら単純な数値上の性能からみれば「格上」のCPUといえるが、実際はどうなのか、そのあたりも注目である。

ベンチマーク性能

 CINEBENCH R15のレンダリングテストはほぼCPUのみに高い負荷がかかるテストで「CPU」のスコアは、CPUのピーク性能の目安になる。熱設計が甘いとスコアに影響が出ることもあるが、今回Core i5-5200Uを搭載した3台はどれもきっちりと性能を引き出しているといえる。Satellite B35/RとThinkPad E550の間に3cbの差があるが、このくらいでは優劣の判断はできない。Core i5-4210Mを搭載するVersaPro タイプVXのスコアは、Core i5-5200Uを搭載する3台よりツーランク上のスコアで、動作クロックの高さが性能に現れている。

 PCMark 8(Work)は、アプリケーションを実際に実行し、レスポンスタイムを元にスコアを出すテストだ。特にビジネスシーンを想定した表計算(spreadsheet)やテキスト編集(Writing)、ビデオチャット(Video Chat v2)などのパフォーマンスが計測できる。より実際のビジネスシーンに近い計測方法と言えるが、その結果では、VersaPro タイプVXとその他3台の力関係が逆転していることがわかるだろう。特に表計算とビデオチャットのパフォーマンスで特に差がついており、PC Mark 8 でみると東芝の dynabook Satellite B35が最も高い数値を出している。

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表2■パフォーマンス
パフォーマンス NEC
VersaPro タイプVX
東芝
Satellite B35/R
デル
Vostro 15 3000
レノボ
ThinkPad E550
CINEBENCH R15
CPU 308 260 259 257
CPU(シングルコア) 123 108 109 108
短評 旧世代ながら動作クロックが高いTDP37WのCPUを搭載しているだけあってCPUの地力は高い。 CPUのみの処理性能を見るのに適したテスト。Core i5-5200Uの性能はきっちりと引き出していると思われる。 CPUのみの処理性能を見るのに適したテスト。Core i5-5200Uの性能はきっちりと引き出していると思われる。 CPUのみの処理性能を見るのに適したテスト。同s譜の2台より若干低いが、これくらいでは実質的には差がないとってよい。
PCMark 8 2.4.304
Work Accelerated 2.0 Score 3529 3781 3737 3715
Web Browsing – JunglePin(s) 0.315 0.329 0.334 0.329
Web Browsing – Amazonia(s) 0.129 0.129 0.13 0.138
Writing(s) 4.69 4.91 4.86 4.94
spreadsheet(s) 7.51 4.69 4.89 4.8
Video Chat v2 / Video Chat Playback 1 v2(fps) 29.9 30 29.9 30
Video Chat v2 / Video Chat encoding v2(ms) 83.3 89.7 91 88.7
Benchmark duration 32min 41s 33min 6s 33min 0s 32min 59s
短評 CINEBENCHとは逆に他の3台にはっきり見劣るスコア。Open CLを介してGPUを利用した高速化が利用できるテストのため、旧世代である構造的な不利が表面化した格好。 Core i5-5200U搭載機の中ではトップのスコアで、CPUクロックの高いVersaPro タイプVXもここでは逆転している。GPU性能、およびCPUコアGPUコアメモリ共有をサポートした新世代CPUの構造的な優位がテスト結果に反映されている。 Core i5-5200U、2.5インチHDDを搭載したモデルとしては標準的なスコアと思われる。 Core i5-5200U、2.5インチHDDを搭載したモデルとしては標準的なスコアと思われる。
点数 9 8 8 8


 この結果は世代の違いによる構造的な差が表面化したものと思われる。第5世代CoreプロセッサーではGPUが強化され、描画性能、ハードウェアエンコーダのエンコード性能ともに高速化しているほか、CPUとGPUの仮想メモリ空間共有もサポートしており、CPUとGPUで連携して処理できるGPGPU性能に強みがある。表計算はグラフの描画などをOpen CL経由でGPUにて処理して高速化できるようになっており、そのあたりの差が出たものだろう。

 採点は、総合的に見れば、NECのVersaPro タイプVXにまだアドバンテージがあると判断して、トップ評価とした。他の3台は1ポイント下げたが、PCMark 8で行われているようなGPUの活用の仕方は今後増えていくことが確実であり、4年(PCの耐用年数)使うことを前提に考えるならば、互角以上の評価を与えても良いくらいである。

省電力性能

 続いて、こうしたパフォーマンスを発揮するためにどのくらいの電力が消費されるか、省電力性とのバランスを見てみよう。たとえパフォーマンスが高くても、電力効率が悪くコストがかさむようであれば、TCOの観点からはお勧めしにくいモデルとなる。そこで、PCMark 8のWorkベンチを実行したとき、実際にどのくらい電力が消費されているのかを「ワットチェッカーplus TAP-TST7」を使用して計測した。その検証結果が以下の動画だ。


 動画からは、インテル第5世代CPUを搭載したSatellite B35/R、ThinkPad E550、Vostro 15 3000のスコアの優秀さと共に、第4世代CPU搭載のVersaPro タイプVXと比べて消費電力も少ないことが分かるだろう。この電力効率の差をより具体的に数値化するため、PCMark 8のWorkベンチを繰り返し1時間走らせ、1時間当たりの消費電力が計測できる「Bluetoothワットチェッカー REX-BTWATTCH1」で測定した。

表3■消費電力
消費電力 NEC
VersaPro タイプVX
東芝
Satellite B35/R
デル
Vostro 15 3000
レノボ
ThinkPad E550
1時間の消費電力 16.6Wh 11.2Wh 11.3Wh 12.0Wh
点数 8 10 10 10


 結果をみると、やはりインテル第5世代CPUを搭載した3台は、平均して高い電力効率を実現している。唯一、第4世代のCPUを搭載しているVersaPro タイプVXは、およそ30%ほど多く電力を使ってしまっている。CPUのピーク性能だけでみると頭1つ抜けていたVersaPro タイプVXであったが、電力効率という視点からみると、他の3モデルに大きく劣る結果となった。

 オフィスで長時間利用することを想定すると、本体の発熱が高かったり、ファンの音がうるさく回ってしまうようでは、使い勝手を大きく損なう。ここではそのあたりのポイントについてチェックした。

 温度については、PCMark 8(Work)を実行して半分程度進行した段階(開始15分後)にボディ(特に手が触れる部分)の温度を放射温度計で計測し、記載した。結果はどれも優秀で、手がよく触れるパームレスト部分やキーボード(ホームポジション)に不快な熱がもつことはなかった。

 静音性については、パームレストから5cmの距離に騒音計(FUSO SD-2200)を置いてアイドル時と高負荷時(CINEBENCH R15のCPUテスト実行中)の両方を測定した。アイドル時はどれも変わらずほぼ無音だが、高負荷時は差が出た。Satellite B35/RとVostro 15 3000は甲乙つけがたい優秀さで、高負荷時でも意識しないと聞こえない程度だった。ThinkPad E550はその2台に比べると若干ファンの動作音が大きく、画面から30cmくらい離れていても動作していることがわかる程度の音は聞こえる。これでも10人規模以上のオフィスならほとんどわからないレベルと思われる。

 一番音が大きかったのは、TDP 37WのCore i5-4210Mを搭載するVersaPro タイプVXで、特別うるさいというほどでもないが、はっきり騒音と認識できる音で、他の3台と比べると明らかに大きな音だ。

表4■放熱性能
放熱性能 NEC
VersaPro タイプVX
東芝
Satellite B35/R
デル
Vostro 15 3000
レノボ
ThinkPad E550
ファンの騒音
ファンの騒音(アイドル時) 31 31 31 31
ファンの騒音(高負荷時:CINEBENCH) 42 35 35 38
排気口の位置 背面左端 右側面奥 左側面奥寄り 左側面奥寄り
PCMark 8実行中(15分前後)
キーボード左 30 28.5 32 31
キーボード右 30.5 31 30 30
パームレスト左 29.5 29 31.5 30.5
パームレスト右 29 32 29 30.5
底部左 38 28.5 35 33.5
底部右 32 36 30 33
短評 排気口が背面にあることもあって、アイドル時はほぼ無音。高負荷時の動作音もそう大きい訳ではないが、この中に入ると大きい。排気口の近くはそれなりに熱をもつが、手がよく触れる部分にまでは伝わってこない。 アイドル時、高負荷時ともに静粛。手が触れる部分の温度も低く、放熱設計はきわめて優秀といえる。 アイドル時、高負荷時ともに静粛。手が触れる部分の温度も低く、放熱設計はきわめて優秀といえる。 アイドル時はほぼ無音。高負荷時もファンが動作しているとわかる程度の音。手が触れる部分の温度も低く、放熱設計は優秀だ。
点数 8 10 10 9
※室温27 ℃、暗騒音31℃、ファンの音は前面端から5cmの距離から測定


photo
どのモデルも高い放熱性能を持っているが、東芝のSatellite B35とデルのVostro 15 3000は特に、
背面・キーボード面全般で、低温に保たれているのがわかる。

 なお別掲したサーモグラフは、室温約20℃の環境で、ベンチマークテストを実行した際のボディの温度を赤外線サーモグラフィー「TI160」で計測したものだ。ここでもPCMark8実行中の放射温度計での計測結果とほぼ同じような傾向が出ている。

 採点は、Satellite B35/RとVostro 15 3000が10ポイント、ThinkPad E550はマイナス1ポイント、VersaPro タイプVXはさらにマイナス2ポイントとした。

【次ページ】オフィスワークで気になる、省スペース性、可搬性、堅牢性について評価

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