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  • 2019/02/21 掲載

日本で順調でも「海外進出すべき」、英語も経験不足も「杞憂」であるワケ

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米国など異国の地で未踏の領域に挑戦するクリエイターたちはどのように自らの居場所を切り開いていったのか。世界の舞台で日本人が勝ち抜くために必要なこととは何か。東京カルチャーカルチャー コミュニティ・アクセラレータ 河原あず氏とDOKI DOKI INC. CEO 井口尊仁氏、電通 Design Strategist/OPEN MEALS発起人 榊良祐氏の3人が語った。

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(左)東京カルチャーカルチャー コミュニティ・アクセラレータ 河原あず氏とDOKI DOKI INC. CEO 井口尊仁氏(中央)、電通 Design Strategist/OPEN MEALS発起人 榊良祐氏(右)の3人が「海外展開するべき理由」を語った

世界に自身のバリューを発信し続ける日本人クリエイター

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東京カルチャーカルチャー
コミュニティ・アクセラレータ
河原あず氏
 河原あず氏は現在、さまざまなイベントのプロデュースや、企業・地域のプロモーション活動支援などに「コミュニティ・アクセラレータ」として参画している。米国シリコンバレーに3年間ほど駐在し、現地で新規事業の企画・立ち上げや、新規コミュニティの設立・運営などに携わった経験を持つ。

 井口尊仁氏は、かつて頓智ドットのCEOとして2008年にスマホ向けARアプリ「セカイカメラ」を世に出し、世界中から注目を集めた起業家。現在は、シリコンバレーで起業した企業「DOKI DOKI INC.」のCEOとして、「トランスペアレント」と呼ばれるサービスの開発に取り組んでいる。

 これは、ユーザー同士の会話内容をその場で音声認識し、重要キーワードを抽出して関連する画像やイメージを即座に検索・表示してくれるというもの。2018年3月に米国テキサスで開催されたクリエイティブなビジネスイベント「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」で発表したところ、大きな反響があったという。

「米国に住み始めて5年、いまだに現地の人々と思うようにコミュニケーションが取れず孤独を感じることがあります。これを何とか解消したいという切実な動機からこのサービスの開発を始めました。この極めて個人的なモチベーションを聴衆にストレートに伝えたところ、多民族国家の米国らしく多くの方から共感をもらえました」(井口氏)

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DOKI DOKI INC.
CEO
井口尊仁氏
 井口氏は、自分のアイデアやビジネスシーズの価値を説明する際、その核となるモチベーションを直接伝えることが重要である点をあらためて実感したという。

 榊良祐氏は、電通の広告クリエイターとしてさまざまな案件のデザインやプロデュースを手掛ける一方、4年前から「OPEN MEALS」というプロジェクトを立ち上げ、その企画や開発を率いている。

 OPEN MEALSは、食物の特徴をデータ化し、それを離れた場所に転送して食品向けの3Dプリンタで出力することで「“データ食”革命」を目指すプロジェクト。電通をはじめ、大学やメーカーなどが参画するオープンイノベーションの場として研究やプロトタイピングが進められている。

 このOPEN MEALSも、SXSWで「SUHI TELEPORTATION」と銘打って展示を行ったところ大反響を巻き起こし、国内外の数多くのメディアで取り上げられた。

 米国で自分のプロジェクトを公開したところ、「手応えと反響」が得られたという井口氏と榊氏。一方、多くの日本人が感じる「海外進出の障壁」をどのように乗り越えたのだろうか。

 榊氏はSXSWへの出展の体験を語る。

「3年間の試行錯誤の後、ようやくSXSWへの出展までこぎ着けたのですが、いざ出してみるとびっくりするぐらい世界中からオファーや取材依頼が舞い込みました。たとえ企業内で日の目をみないプロジェクトでも、こういう場に出してみると思わぬ反応が返ってくる可能性があるので、ぜひ世界に向けて発信することをお勧めします」(榊氏)



「言葉の違い」「文化の違い」をどう考える?

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電通 Design Strategist
OPEN MEALS発起人
榊良祐氏
 多くの日本人が感じる「海外進出の障壁」について、河原氏は次のように指摘する。

「『英語ができないから』『海外ビジネスの経験がないから』『国内のマーケットで食えているから』といった理由から、海外進出に二の足を踏んでいる方が多いように感じます。しかし今後は、日本人自身がどう感じるかに関わらず、マーケット自体がグローバル化の性格をどんどん強めていきますから、否応なしに日本企業も世界に打って出ざるを得なくなります」(河原氏)

 一方で井口氏と榊氏からは、日本人にありがちな「一念発起して海外に打って出るぞ!」という気負いはほとんど感じられない。

「せっかく素晴らしいものを考え出したのなら、それを世界中の人々に使ってもらいたいと思うのは自然な流れではないでしょうか」(井口氏)

「OPEN MEALSのアイデアはグローバルにスケールしていくと思っていますから、戦う場所も自ずと世界になるというだけです」(榊氏)

 「英語ができないから」「コミュニケーションに不安がある」という懸念は、意外と杞憂に終わることが多いという。

「アイデアやビジネスシーズの面白さを理解してもらえると、たとえ自分で英語が話せなくても、いろんな人が寄ってきて勝手に手伝ってくれます。海外では、日本よりもアイデア自体を純粋に評価してもらえるような気がします」(榊氏)

 また井口氏は、米国に住んで現地でビジネスを行う中で、「日本という国に対するリスペクト」をたびたび実感するという。そうした風潮は、日本人や日本企業が海外でビジネスを行う上で、極めて有利に働くはずだと述べる。

「すでに米国に5年間住んでいますが、人種差別的な扱いをほとんど受けたことはありませんし、むしろ日本の文化や日本の産業に対するリスペクトをひしひしと感じます。中には嫌悪される国もある中で、こうやって敬意を払ってもらえると、やはりモチベーションアップにつながります」(井口氏)

 井口氏によると、『日本人はゼロからイチを生み出すのは苦手だ』という言説がある一方、むしろ海外では『日本人のゼロからイチを生み出したバリュー』をとても高く評価しているという。日本にいると、こうした価値に日本人自身がなかなか気付きにくい点を指摘した。

日本企業には価値の高い技術やアイデアが眠っている

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「それまで日本ではごくありふれたものにしか見えなかったものが、海外に出てみるととても価値の高いものだと気付かされることが多い」
 榊氏も、OPEN MEALSをきっかけに海外に出てみて、あらためて日本企業の価値に気付かされることが多いという。

「それまで日本ではごくありふれたものにしか見えなかったものが、海外に出てみるととても価値の高いものだと気付かされることが多いですね。広告の仕事をしていると、さまざまな企業のビジネスに触れる機会が多いのですが、せっかくすごい技術やアイデアを持っているのに『使い道が分からないので、もうやめようと思ってます』と言われることも多々あります。本当にもったいないと思います」(榊氏)

 このように榊氏は、自分たちが持つ価値に気付いて自信を持って世界にプレゼンテーションすれば、花開く技術やアイデアが日本企業には数多く眠っていると感じている。

 こうして限界を突破し、日本が持つ技術やアイデアが世界でさらに広く評価を得るために必要なものは何か。榊氏は、技術やアイデアとビジネスをうまく接合できるファシリテーター的な存在が鍵を握るだろうと指摘する。また、技術やアイデアの「見せ方」の工夫も重要になってくる。いくら優れた技術やアイデアも、見せ方が陳腐だとその魅力がうまく伝わらない。

 しかしこの点について、近年の日本企業は海外の展示会において評価が高いと河原氏は言う。

「家電と最新テクノロジーの見本市であるCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)のような場で大規模なブースを構えて展示する場合、日本企業はどうしても通り一辺倒な展示内容になりがちです。逆にSXSWのような場での小規模な展示では、日本企業は限られたリソースをうまく駆使して来場者の注目を集める見せ方に成功しています。ここには、日本ならではのおもてなしの文化がうまく生かされているように感じます」(河原氏)

 榊氏も、SXSWでのOPEN MEALS展示の成功について、次のように振り返る。

「SXSWでのOPEN MEALSの展示も、技術自体はまだ1割にも満たない完成度だったのですが、『SUSHI TELEPORTATION』というキャッチーなコピーで多くの方に注目いただきました。加えて、将来のビジョンも明確に示したことでバリューがきちんと伝わったのだと思います。この『ヒキ』『技術』『ビジョン』の3つをセットにして出したことで、技術レベルが未成熟でも評価してもらえたのだと思います」

 一方、井口氏はセカイカメラで注目を集めて以来、世界各国のアワードや起業家育成プログラムに参加してきた経験から、「日本企業が海外に出ていく」だけではなく、「日本の資本が海外企業を呼び寄せる」ことの価値を説く。

「これまでイギリスやフランスなど、さまざまな国のプログラムに招待していただきましたが、こうした場では自国の企業ではなく、海外から呼び寄せた起業家に対して積極的に投資する傾向があります。こういう視点は、日本の起業家育成プログラムやインキュベータにはあまりないように思います」(井口氏)

 井口氏はせっかく日本の文化や産業は海外でリスペクトを集めているのだから、そのレピュテーション(評判)を生かして海外から優れた技術やアイデアを募って、自分たちの輪の中に招き入れてもいいのではないかと指摘。このような視点を、「グローバル化の重要な考え方の1つ」と説明して、セッションを締めくくった。

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