データ経済の発展がもたらした「データを巡る争い」
現在のデジタル社会において、サイバーセキュリティのカギを握るのが「データ経済」だ。いまやデータは、個人の生活から企業の経済活動、国の成長にまで関わっている。それは、GAFAと呼ばれる巨大IT企業たち(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)の隆盛を見れば明らかだろう。データ経済は、データを巡る争いを引き起こす。争いには公正なものと不公正なものがあるが、サイバー攻撃はもちろん後者だ。そこで狙われるのは、個人のプライバシーや企業の機密情報、国家の安全保障に関わるデータである。元インターポール、現ヤフー サイバーセキュリティ担当の中谷昇氏は、現在のサイバー攻撃の特徴と攻撃者の種類を、次のように説明する。
「現在のサイバー攻撃の特徴は3つあります。1つは攻撃が高度化していること。2つ目は被害が急速に拡大すること。そして3つ目は発見が困難であることです。
攻撃者の主体は大きく5つです。金目当てのオンライン犯罪者、政治的主張を目的とするハクティビスト、テロリスト、悪意を持った内部関係者、そして国家です。
どれに狙われるかによって対応は変わります。たとえば、国家主体の攻撃に個人や企業で対応することは不可能です。警察などを通じて、国と協力しながら対応する必要があります」(中谷氏)
ただし、すべてのサイバー犯罪には共通点があると中谷氏はいう。それはデータが“盗まれている”ということだ。ところが、日本のメディアの論調は異なるとも指摘する。
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