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  • 2020/03/16 掲載

「KIOXIA SSDフォーラム 2020」レポート 2020年 手塚治虫が生きていたら、何を描く?

「人間×AI」の挑戦

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東芝メモリから社名変更したキオクシアが、「Driving Transformation」をテーマに2020年1月「KIOXIA SSDフォーラム2020」を行った。キオクシアの常務執行役員 SSD事業部長である横塚 賢志氏は、IoTやDX(Digital Transformation)の潮流にフラッシュメモリが大きく貢献しており、フラッシュメモリやSSDの市場・技術動向などを紹介する目的でフォーラムを開催したと語った。

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 漫画の神様とも称される手塚 治虫氏が亡くなってから30年以上が経過しており、「もしも今、手塚治虫が生きていたら、どんな未来を漫画に描くだろう?」という疑問から生まれた同社の推進プロジェクト「TEZUKA2020」に触れ、プロジェクトメンバーである手塚プロダクション取締役の手塚 眞氏をスペシャルゲストとして紹介した。

天才「手塚治虫」の世界をAIは再現できるのか

 言うまでもないが、手塚 治虫氏は、漫画界に革命を起こした。日本で最初の連載漫画となる『ジャングル大帝』や自立した女性を描いた少女漫画の原点とも言われる『リボンの騎士』をはじめ、奇妙な風貌をしているが非常に人情味にあふれた『ブラックジャック』のような複雑なキャラクターを生み出すなど、たくさんのアイデアを生み出してきた。

 「TEZUKA2020」とは、手塚作品の管理・活用などを手掛ける手塚プロダクションと半導体メーカーであるキオクシアなどが手を組んだもので、AI(人工知能)を活用して新たな手塚作品を生み出すという世界初の試みである。過去の手塚作品の世界観・時代背景・キャラクターなどを人間が分析し、データ化した上でAI技術に学習させ、漫画の世界観や登場人物像、あらすじなどの構成要素からプロット(漫画の基本的な構成要素)をAI技術が生成するというものだ。

 手塚 眞氏は、治虫氏の功績を称えた上で「彼は多くのアイデアを生み出してきましたが、まったくゼロの状態から生み出してきたというわけではありません」と語る。

「人間は、過去の文化遺産や創造された作品群など、形を変えたり、組み合わせたりすることで新しいものを創り出してきました。いわば、多くのアイデアを編集作業しているようなものです」(眞氏)

 その例として、手塚作品の『火の鳥』を挙げ、ロシア民話や中国の鳳凰(ほうおう)などをアレンジした作品であると説明した。眞氏は、「過去の作品などをどういう風に使うのか、どのような味付けをするのかというところで、手塚 治虫の天才性が発揮されていた作品だと思います」と語った。

 また、「手塚 治虫」の名を世界的に知らしめた『鉄腕アトム』については、「人間と科学技術の助け合いがテーマにあります。人間が科学技術と正しく向き合うことを非常に象徴的に表している作品です」と解説した。

 革命ともいえる創造性を発揮してきた治虫氏の世界をAIが本当に創り出せるのか、そもそもAIに創造性が出せるのか、疑問を持つ人もいるだろう。

「AIだけが好き勝手に生み出すことはありません。必ずそこに人間の手や感性が組み合わさることで形になっていきます。現在、私たちが向き合っているAIという技術が、そのクリエイティブな面でも大変有効なのではないかと考えております」(眞氏)

 最後に、「TEZUKA2020」プロジェクトについて「世界初ということで最初から100%を目指しておりません。そこから何が生まれるのか。この第1歩から大きな世界が見えてくるような気がします。ぜひともお楽しみにしていただきたいです」と語った。

最先端のフラッシュ/ストレージ技術を開発、提供するキオクシア

 同フォーラムでは、キオクシアのSSD事業部 技師長(SSD応用技術)である大島 成夫氏が「アプリケーション要求に応える最先端フラッシュ・ストレージ技術」と題した講演において、同社の最先端技術の数々を紹介した。

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キオクシア
SSD応用技術技師長
大島 成夫氏

 2000年代から2010年代にかけた10年間では、PCやタブレットなどのエンドポイント、サーバー/ストレージから構成されるオンプレミスシステムに加えて、クラウドサービスが急速に台頭した。また、今後は次世代無線通信規格「5G」の出現によって膨大なデータが生成される。大島氏は、これらにより「ストレージには高速データアクセスが必須となる世界が到来します。これからは高速かつ安全に接続できなければ、ビジネスに貢献できません」と説明した。

 同社は、「3次元フラッシュメモリ」「SCM(ストレージクラスメモリ)」など最適な技術を選択し、提供することを目指していく方針だという。同社の代表的な技術の1つが、3次元フラッシュメモリである「BiCS FLASH」だ。従来のメモリセルを横に並べる構造から垂直方向に積層する構造に変えることで、水平方向の面積を維持したままメモリセルの数を増やして大容量化を図っている。

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3次元フラッシュメモリの構造「BiCS FLASH」

 大島氏は「縦方向への改革は、微細化の限界へのチャレンジです。現在、主流のBiCS FLASHの4代目では、旧世代の64層から96層へと積層が1.5倍になっています。スカイツリーが6個積み上がっているイメージを想像してみると分かりやすいかもしれません」と解説した。

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会場に展示されていた96層3次元フラッシュメモリウエハー。同社では、アスペクト比率への挑戦が続いており、2020年2月には5世代目となる112層積層プロセスを用いた製品を試作して、その基本動作を確認している段階だ

 また、回路設計技術「VML(Virtual Multi LUN)」を導入し、全体的な性能向上を目指している。この技術を使うと、各プレーンが独立して動作することが可能になり性能向上を実現できるという。さらに、同社では、実用化段階に入っている「QLC(4ビット/セル)」に加えて、「PLC(5ビット/セル)」を開発しており、閾値制御によって性能や信頼性の向上が期待される。

 SSDの高速な処理性能を発揮するための鍵となるのが、「PCIe Gen4への対応」だ。同社では、すでにサーバー向け製品で対応済みである。PCIe Gen4は、クライアントPC市場では2021年ごろ、エンタープライズの市場で2022年から2023年ごろに採用が広がると、大島氏は予測する。

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会場に展示されていたPCIe Gen4 対応SSDデモ

 ネットワーク経由でNVMeのホストとデバイスを接続する「NVMe-oF™(NVMe over Fabrics)」を応用した技術も紹介された。NVMe-oFは革新的なストレージソリューションとして、将来、クラウド、あるいはハイパフォーマンスコンピューティングで主流になると期待されている。KumoScale(クモスケール)は同社が開発したNVMe-oFソフトウェアで、高速なプロトコルとイーサネット接続により、ネットワーク経由のストレージでありながら、サーバーの内蔵ストレージと同等のレイテンシでのアクセスを実現する。

 一方で、次世代のハードウエアとしてSSD自身にEthernetのIFを持たせた「イーサネット接続型SSD」も開発している。従来のSSDを搭載したストレージアレイの構成ではPCIeとEthenetのバスの部分にボトルネックが存在してバンド幅が100~200bpsに抑制されていたものが、Ethernet SSDでは25GbpsのIO性能を発揮するSSDを24台搭載した場合、600Gbpsのバンド幅がリニアに実現される。システムの簡素化、コストや電力削減などの効果が期待できると説明した。

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会場に展示されていたイーサネット接続型SSDデモ

 最後に、大島氏は「当社のイノベーションは絶え間なく、これからも継続しています。フラッシュネイティブソリューションをさらに広げるべく、新技術を盛り込んだ製品の開発を加速、推進していきます。そのソリューションを皆さまと共有して、最高の付加価値を提供します」と語った。

データセンター変革、ラストピースは「ストレージシステム」

 続いて、インターネットイニシアティブのシステムズ・アーキテクト 先行開発室長である金田 克己氏が登壇。「フラッシュメモリとネットワーク技術の進化がもたらすデータセンターアーキテクチャーの変化」と題した講演を行った。

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インターネットイニシアティブ
システムズ・アーキテクト 先行開発室長
金田 克己氏

 同氏はまず、これまで繰り返されてきたIT業界内のイニシアティブの変遷を紹介。「変化が訪れる前後には、技術革新によって従来型のハードウェアのコストダウンが可能となり、新興ベンダーが従来よりも高機能で安価なハードウェアを提供することで市場のシェアを拡大させてきました」と解説した。その結果、業界のイニシアティブが新興ベンダーに移り、ユーザーが増えることでさまざまなアプリケーションが生まれ、さらに市場が拡大してきたという。

 また、直近10年間におけるデータセンターの構造の変化として“クラウドネイティブ”になっていることを挙げ、サイロ化されたシステムから、ハードウェアを統合して共通リソースとしてシステム間で共用する統合基盤を経て、ユーザーのリクエストに応じてリソースが自動的に割り当てられるクラウドへと進化したと説明した。

 さらに2010年当時に課題だった「ソフトウェア制御(SDx)」「ネットワークのスケーラビリティ」「ストレージシステムのスケーラビリティ」などについては、クラウド事業者の要求に応じて新しい技術開発が爆発的に進展することで解決してきたと語る。

 金田氏は、「コモディティ化」と「水平分業(ディスアグリゲート)」の2つをデータセンターのアーキテクチャー変革のポイントとして挙げている。

 コモディティ化とは、同じ仕様のハードウェアが複数のベンダーから調達できるようになることを指す。また、ディスアグリゲートとは、専用OSと専用ハードウェアから構成されたパッケージ製品から、コモディティ化されたハードウェアとユーザーが自由に選択するOSの組み合わせへの構成変化を指す。

「ストレージシステムではSSDの低価格化により一気にSSDが主流となり、NVMe/ NVMe-oFという新プロトコルの実用化が見えてきました。さらにNVMe SSDに照準を合わせたSDS(ソフトウェア定義ストレージ)ベンチャーが存在感を増すことなどで、ストレージシステムもコモディティ化して業界が変化する可能性が高まっています」(金田氏)

 金田氏は「2、3年後にはストレージシステムを構成するハードウェアのコモディティ化は完了します。あとはソフトウェアがそろえばディスアグリゲートも完了して、データセンターにとって使いやすくなるストレージシステムが完成するでしょう」と予想する。その上で「ストレージシステムのハードウェアがコモディティ化するのに必要な最後のピースは“ストレージエンクロージャ”です」と説明した。

 複数の筐体(きょうたい)を組み合わせて構成されるストレージシステムの要素には、すでにコモディティ化されているサーバーやイーサネットスイッチなどが含まれる。金田氏は「ストレージエンクロージャに当たる部分がコモディティ化されれば、ストレージシステムのハードウェア全体はコモディティ化されたといえます」と述べ、SSDをNVMe-oF(RoCE)に直接接続可能にするイーサネット直結SSDを開発するキオクシアの取り組みを評価した。

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新しいストレージシステムの構成イメージ

 また、このコモディティ化されたハードウェアをストレージシステムとして扱えるようにするには、キオクシアのKumoScaleなどが有用であると述べた。最後に、金田氏は「これからはますます変化が激しくて面白い時代になります。新しい時代のストレージを探していきたいです」と抱負を述べた。

SSDがボトルネックを軽減する未来がそこに

 イベントの最後には、キオクシアのSSD事業部 技師長の柳 茂知氏が登壇。同社が取り組む今後の製品展望を説明した。

「プロセッサの世界ではムーアの法則が終わったと言われています。一方、メモリの高性能化はまだまだ継続しています。そのため、今後はCPU性能とメモリ性能のギャップが広がっていき、大きな課題となってきます」(柳氏)

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キオクシア
SSD技師長
柳 茂知氏

 同社では、そうしたギャップを埋める「In-Storage Computation」を提唱している。In-Storage Computationとは、ホスト(サーバー)側で行われているストレージ処理をSSDで実行してホスト側のCPUの負荷を減らすことで、処理能力をより高付加価値なアプリケーションにアロケート可能にするというものだ。

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SSDがホストのCPUボトルネックを軽減する変革「In-Storage Computation」

 SSDがネットワークのボトルネックを軽減できる未来を見据えた構想だといえる。具体的には、20~50%のCPU負荷低減を想定しており、TCOの最適化やITリソース配置、利用の効率化を実現できるという。その他にも、現在のPCIe Gen4のその先にあるPCIe G5を想定した取り組みも現在進行中だ。

 キオクシアは、“「記憶」で世界をおもしろくする”ために、今と未来をつなぐ新しい価値を創造し世界を変えていく存在を目指しているという。同社の今後の展開に期待が高まる。

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