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  • 2024/05/22 掲載

工期の長期化や価格転嫁…「2024年問題」で建設業はどう変わった? 消費者への影響は

連載:現場の声から読み解く建築業界のリアル

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2024年4月1日に「働き方改革関連法」が施行されて以降、建設業界内ではさまざまな変化が起こっています。たとえば、大型連休期間の休工や移動時間を含めた労働時間の規制などにより、工期の長期化や価格転嫁といった影響が出てきています。今後、そうした影響は、業界内だけにとどまらず、私たち消費者にも直接関わってくるでしょう。もはや他人事ではない建設業界の労働問題にどう向き合っていくべきなのでしょうか。
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2024年問題の期限を迎えて2カ月、建設業界はどう変わったのか…
(Photo/Shutterstock.com)

大型連休期間の休工で給料は「約1/3減」

 建設業の2024年問題の期限を迎え、働き方改革関連法が施行されたことで、業界内で大きな変化が起こっているように感じます。

 2024年のゴールデンウィークは、中日に平日が3日間あるにもかかわらず、すべての期間を休工にして10連休になった、という現場も多かったのではないでしょうか。

 これまでは、会社と従業員の間で時間外労働や休日労働について何時間しますよ、といったきちんとした取り決め(36(サブロク)協定)をしていれば、上限に規制はありませんでした。しかし、2024年4月1日以降は既定の上限を超えて従業員を働かせることは難しくなっています。

 そのため、できる限り時間外労働や休日労働をさせることがないように意識をしなければならず、今回のゴールデンウィークに関しても、働き方改革を意識し、休工にしたものと考えられます。

 これまでは、大型連休であっても、休工にせずに工事を行っていた現場がそれなりにあった中、このような対応について、業界内では賛否両論といったところが現状でしょう。

 その理由の1つとして、下請業者である建設業者は、特に休工の影響を大きく受けると想定されるからです。基本的に建設業で働く現場の従業員は、元請業者・下請業者を問わず、「日給制」で支払いを受けていることが非常に多くなっています。

 そのため、このゴールデンウィークをすべて休工にされてしまうことで、現場で働く従業員としては月の約1/3の収入を失うことになるのです。

 これを挽回するために、無理やり残りの日にちで働きたいと志願するような従業員が増える可能性もあります。そうなると、集中的に労働時間が増えることになり、結果として、時間外労働や休日労働が発生し、働き方改革とはかけ離れた働き方をする状況になってしまいます。

 つまり、元請業者側の都合で無理に働き方改革を進めていくと、このようなひずみが生じる可能性がある、ということです。

コンクリート圧送工事業の“厳しい現実”

 2024年3月、一般社団法人 全国コンクリート圧送事業団体連合会は、4月以降の現場において圧送作業時間の終了時刻を午後3時までする要望書を、一般社団法人 日本建設業連合会ならびに一般社団法人 全国建設業協会傘下の大手ゼネコン本支店に発送しています。

 コンクリート圧送工事業は、自社から現場まで運転する片道2時間程度の回送時間が必要となります。これが労働時間に含まれることから、月80時間~120時間の時間外労働が発生している業界特有の事情があるのです。

 そのため、4月以降の新規物件から、4週8休を前提とした稼働を計画できる地域においては、圧送作業時間を8時~15時(うち昼休憩1時間を含む)、4月以降も土曜日の圧送作業が続く地域においては、4週6休(土曜月2回の稼働)を前提として、圧送作業時間を9時~15時(うち昼休憩1時間を含む)とする標準作業時間を示し、改めて施工計画への配慮を要望している状況です。

 コンクリートの圧送が必要になる業種については、コンクリートを打設できる時間が限られてくることから、施工計画をこれまで以上に綿密に考える必要があります。

 これについては、回送時間が労働時間に含まれるとしていますが、現場で働く従業員が会社から現場に行く時間も、移動時間として労働時間に含まれる可能性があることに注意しておくべきでしょう。

 建設業界では、この移動時間を労働時間として計算しなければならないような場合でも、労働時間としてカウントせずに、賃金を適正に支払っていない企業も多く存在しています。

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建設業の労働時間は他業界と比べてどれくらい多いのでしょうか。次ページで解説します
【次ページ】公共工事は「週休2日制」がスタンダードに?

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