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- 2025/07/29 掲載
三菱自「大胆決断」の裏側…ホンハイ動かした、エヌビディアCEOの「たった1枚のメモ」
米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。
「電子製品の委託製造」から変貌を遂げようとするホンハイ
アップル製品の製造で知られるホンハイ精密工業(以下、ホンハイ)が、いま自動車産業で大きな動きを見せている。
これまで電子製品などの委託製造というイメージが強かったホンハイ。だが、2025年5月のCOMPUTEX TAIPEIで初となる基調演説を行った劉揚偉 会長が語ったAI戦略は、製造業の未来を根本から変える可能性を秘めていた。
ホンハイが掲げるAI戦略の狙いとは何か。その答えには日本の製造業にとっても見過ごせない重要な示唆が隠されている。
三菱自動車が選んだ「8割委託」の道
まず劉会長が大きなトピックとして語ったのが、三菱自動車との提携についてだ。三菱自動車と、ホンハイ傘下でEV開発を行うFoxtron(フォックストロン)は、2025年5月、フォックストロンが開発したEVを三菱自動車に供給するという内容の覚書を締結し、オセアニア地域で2026年後半に販売開始する予定である。
この提携で注目すべきは、劉会長が明かした製造分担の内訳だ。「製造の8割までをフォックストロンが行い、OEMは残りの2割、つまり車体デザインやインテリア、インフォテイメントなどを行う」という。
これはPC業界では当たり前の製造形態だが、自動車業界にも導入することで、車の開発期間は大幅に短縮される。
三菱自動車は、北米では日産リーフから、欧州ではルノーから車体供給を受けるEVを発売し、日産に対してはPHEV技術を提供している。このようなパートナーシップを生かした電動化戦略の一環として、今回のホンハイとの提携も位置づけられる。 【次ページ】「1年半で激変」ホンハイの戦略変えた、ジェンスン・ファン氏の“メモ”
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