- 2025/10/27 掲載
ついにお披露目の日産「新型リーフ」、ドライバー視点で見た“超進化したある性能”(2/3)
連載:EV最前線~ビジネスと社会はどう変わるのか
「崖っぷち」日産の「次への布石」と言えるワケ
新型リーフの発表会で、リーフの開発責任者は、世界累計販売70万台以上、それらの走行距離は延べ280億kmに達すると、これまでの実績を紹介した。この間日産は、リチウムイオンバッテリーの事故ゼロを継続している。リチウムイオンバッテリーについては、EVに限らずモバイルバッテリーやスマートフォンなど含め携帯電子機器での熱膨張や発火などの事故が消費者に不安をもたらし、住宅の火災にまで発展している。一方で、それら家庭電化製品に比べ膨大な量のリチウムイオンバッテリーを車載し、かつ高速道路では時速120km(国内においては一部の道路区間)もの速さで走るEVで、バッテリー事故ゼロという実績は、世界に誇れる安全性能である。
しかしながら、そうした安全性を差し置いても、EVの購入や所有にはなお、消費者の迷いが払拭しきれていない。
新型リーフは、その迷いの解消を大きな開発目標に置いた。
そのための1つが、一充電走行距離の延長だ。
初代リーフの走行距離は200km(ただし現在とモード測定法が異なる)であった。2代目で、それを約1.6倍の322kmとし、さらに450kmまで延長した上級車種を選べるようにした。そして新型リーフは、最大702kmまで可能にしたのである。初代から15年で3.5倍以上の性能向上となる。
ディーゼルエンジン車では、1000kmほど走行できる車種もあるが、700kmと言えば、東京から北は青森県まで、西は島根県や愛媛県までという遠方だ。日本国内で、そこまでを1日で移動しようという例は稀だろう。現実的でないとはいえ、そこまで一気に行けてしまう一充電走行距離を備えることでの心理的安心感は、消費者に1つの親近感をもたらすのではないか。
なぜ充電性能も「心配無用」なのか
走行距離に加えてEVの移動における心配事として取り上げられるのが、充電性能だ。この場合の充電性能とは、移動途中での急速充電(経路充電)に費やす時間をいう。ガソリンや軽油など燃料給油は5分ほどで済むのに、EVの充電には30分かかるといった懸念が語られる。新型リーフは、150kW(キロ・ワット)の高性能充電器を使用することにより、15分の急速充電で250km走れる電力を充電できる。
この高性能充電器は、設置場所すべてに整備されているわけではないが、一充電走行距離の長いEVであれば、単に数が増えれば便利になるのではなく、充電残量が減って急速充電を必要とする場所にあればよいのである。
東京電力ホールディングスやトヨタ自動車、日産などが出資し、急速充電器の整備事業などを手掛けるe-Mobility Power社の例では、今年の4月時点で150kWに対応した急速充電器は、全国14カ所のサービスエリア(SA)とパーキングエリア(PA)に設置されている。700km以上走れる新型リーフであれば、東京から青森や島根、愛媛まで移動する間に1カ所あれば、余裕をもって目的地に着ける計算だ。
ちなみに、日産によれば、全国の充電拠点は合計で3万7000(急速充電は1万1000)カ所に達し、ガソリンスタンドの約2万7400軒をすでに超えている。
とはいえEVユーザーでない人からは、充電所を街中で見たことがない、という声を聞くことがある。ただそれは、充電器がガソリンスタンドのように大掛かりな施設ではなく、駐車場の一角に機器が設置されるため気が付きにくいだけなので、心配は無用だ。 【次ページ】日産の「自動運転実証」から見える「ある未来」
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