- 2025/10/27 掲載
ついにお披露目の日産「新型リーフ」、ドライバー視点で見た“超進化したある性能”(3/3)
連載:EV最前線~ビジネスと社会はどう変わるのか
日産の「自動運転実証」から見える「ある未来」
このように、日本においてEVを普段使いする土壌が整ってきているが、脱炭素の観点からは、再生可能エネルギーを使った燃料で走るエンジン車も貢献するとの声もあるだろう。しかし、EVならではの強みで忘れてはならない点がもう1つある。それが自動運転だ。
ガソリン車と比較して、EVは技術的に自動運転により最適である。というのも、EVはモーターがエンジンに比べ100倍速く応答できるからだ。これは、万一の緊急事態に直面した際、1/100の速さで対処できることを意味する。
実際日産は、記事冒頭で触れた、今年11月から実施される横浜みなとみらい地区での自動運転サービス実証において、EVと同じモーター駆動でエンジンは発電のみに使う独自のハイブリッドシステム「e-Power」を搭載したミニバン、セレナを採用している。
この実証は、限られた施設内ではなく我々も走る一般公道で行う。ここに、電鉄事業を行う京浜急行が加わり、沿線住民の駅からの足としての利用も検証するとしており、自動運転技術の今後の進展に寄与するだろう。
三代目リーフ登場で「注目するべきポイント」
こうした試みの先にある自動運転実現で、まず期待されるのが交通事故の減少だ。交通事故の原因は、9割が人間の誤認による操作間違いなどによるとの報道もあるように、交通事故と「ヒューマンエラー」は切っても切り離せない。それを機械が支援したり、機械が代替したりすることで、ヒューマンエラーによる事故を大幅に減らすことが期待されている。
また現代は、人手不足が深刻化し、タクシーにしても運転者の担い手不足や高齢化が懸念されるところだ。自動運転はこれらの課題を解決する可能性を秘めている。
さらに、自動運転の効用はそればかりではない。
これまで普及してきたクルマは、健常者のための移動手段であった。もちろん「福祉車両」は存在しているが、それも健常者の運転者が居て、障害がある人は同乗する形式が多い。
自動運転が実用化し、普及すれば、障害がある人、中でも移動がより不自由な視覚障害のある人も、1人でどこへでも移動できるようになる。自動運転によるサービス事業が広まれば、スマートフォンで呼び出し、近距離でも運転者に嫌な顔されることなく移動でき、合理的な料金で使用できる。運転免許証を返納するような高齢者も利用者に含まれる。
世の中では脱二酸化炭素を旗頭に単一的な価値観で良し悪しが語られがちだが、ここまで見てきたように、EVは複合的な未来社会の価値を提供するクルマと言える。世界でもっともEVの経験が豊富な日産であるからこそ、切り拓ける未来がある。3代目となった新型リーフの登場を契機に、そこによりスポットライトを当ててもいいのではないだろうか。
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