ビッグデータというキーワードを耳にすることは増えたが、ビジネスにいかに活用するか、しっかりとイメージできている人は多くないのではないだろうか。そもそもビッグデータとはどういったもので、どういった利用価値があり、なぜ今、これからのビジネスを変えるキーワードとしてこれほど注目されているのだろうか。
「Hadoopに代表される大規模データの分散処理が出来る仕組みが脚光を浴び、これまでなら『集めたくても集められなかったデータ』を収集し、分析できる技術基盤が整ってきました。そこで、それらを個別に扱うのではなく、一か所に集めて活用できないか、という動きが出てきています」
アドビ システムズ(以下、アドビ) コンサルティング サービス部の小栗 順平氏は、注目の背景をそう分析する。
「特にマーケティング分野で期待されているのが、これまで以上に精度の高い『ターゲティング・パーソナライズ』です。パーソナライズという概念自体は目新しいものではありませんが、扱えるデータ領域が広いほどパーソナライズの精度はこれまでより格段に高まるかと思います」
パーソナライズとは、顧客それぞれの行動を分析して最適なコンテンツを見せることで、購買意欲を高める手法だ。大手ショッピングサイトのおすすめ商品表示や、過去の購買データに基づくキャンペーン告知などで、なじみのある人も多いだろう。データ量が多いほど、精度の高いパーソナライズが可能なことは容易に想像できるのではないだろうか。
では、精度の高いパーソナライズを行なうために、まずたくさんのデータを集めることから始めるのか──と思えば、そうではないと小栗氏は指摘する。
「まず分析対象となるデータを集めなければ…というのは、ビッグデータをマーケティングに取り入れようとする企業が陥りがちな間違いの1つです。データ収集にはゴールがありません。集めることを最初の目的にしてしまうと、分析を始める前に疲弊してしまいます」
目的はデータを分析し、活用することであり、データ集めそのものではない。そこを見失うことなく、データ(ビッグデータ)活用に乗り出さなくてはならない。
ビッグデータのもたらす効果と取り組み方を知ろう