外部環境における市場の変化が激しい現代、製造業が戦略的なサービス事業へ変革することの重要性について解説したのは、PTC SLMセグメント ディビジョナル ゼネラル マネージャのリー・スミス氏。「世界は今、大きなパラダイムシフトを向かえています。製造業ではビジネスモデルの変革が必要で、サービスによる収益性の向上が求められています」と言う。
近年では、製造業はサービスから利益を得ることにますます注力し始めている。一回限りの販売から得られる利益よりも、製品を長期に渡って利用することを通して得られるサービス利益が重要視されるようになったためだ。また、他社との競争を有利に進めるため、そもそもの販売対象を製品ではなくサービスそのものにシフトする動きも見られる。そして、こうした変化を支える業務プロセスやITの仕組みが求められるようになってきた。しかし現実には、多くの企業がサービスの提供コストの増加などにより、サービス事業を成長させる課程で「一時的に利益が減少する」という課題を抱えている。
こうした課題を解決しサービス事業を継続的に成長させるには、経営層自ら企業カルチャーを刷新させる必要がある。そしてサービス事業のための業務改革をうまく管理し、その上でビジネスニーズの変化にも柔軟に対応できるITインフラを、グローバルに利用できるべく準備することがカギとなる。
今後のPTC SLMの開発方向性は、モノのインターネット(IoT)を考慮して顧客先で使用している製品の稼働状況を把握し、サービスをより迅速に、事前に、効率的に提供可能にすることだ。これにより「現場で起きていることをリアルタイムに把握し、素早い対応が可能となる」とスミス氏は言う。製品がつながることで、修理に必要なパーツを自動で引き当てることが可能になり、初回対応が可能になる等、フィールド サービス管理の現場にメリットがもたらされる。
また製品がつながることで、サービス パーツ在庫の需要予測をより正確に行えるようになり、在庫レベルが最適化され、お客様に対し予防的な保守作業を提案できるようになる。製品情報や品質情報を設計にフィードバックし改善するサイクルもできる。つながることのメリットをPTCはSLMだけでなくすべての製品ライフサイクルのプロセスに適用する。
「サービス事業においても競争が激しくなってきている中で、変革にはリスクもあればチャンスもある。PTCでは製造業の方々が変革に追随できるようサポートします」(スミス氏)
経歴:
PTCのサービス ライフサイクル管理(SLM)セグメントの責任者として、市場分析、ソリューション定義、ソリューション マーケティング、戦略的事業開発、顧客開拓等の全活動を含むSLMマーケット セグメントを統括。2012年10月のPTCによるサービジスティクス社買収により、PTCに入社。PTC入社以前は、サービジスティクス社の最高執行責任者(COO)として、営業、クライアント サービス、およびSLM製品をグローバルで統括。
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