予算編成ではじまるExcelとの戦い
暦年決算の企業であれば、今まさに真っ直中、3月決算の企業であれば、そろそろ考えなければならないのが「予算作成」だ。ただ、一言で「予算作成」といっても、その業務は大きく「予算策定」と「予算編成」に分かれる。
「予算策定」は予算案を作成する業務だ。当期の予算実績対比を作成し、部門別・科目別などに展開したあと、中期経営計画などと照らし合わせて予算案を立案する。その後、担当役員に承認をとって予算案を策定する。「予算編成」は、策定した予算案を各部門に配布し、確認・修正を行い、数字を確定して会計システムに入力するまでの業務だ。
規模の大きい企業であれば、経営管理部門が担当するだろうが、中小企業の場合、経理部門が担当するケースも多いだろう。そこで活躍するのがExcelだ。特に、策定した予算案を各部門に配布し、確認・修正を行うプロセスでは、各部門と経理部門の間を、Excelファイルが何度も飛び交うことになる。
確かに予算編成は会社によって方法が異なるため、Excelに頼らざるをえない現実がある。しかし、Excelは自由度が高すぎるため、配布したワークシートに行や列を勝手に追加されたり、数式を上書きされることも少なくない。場合によっては、Excelシートを確認しながら電卓で検算するといった状況も起こりえる。
また、Excelは版管理(バージョン管理)がしづらく、部門ごとに修正を加えていたら、いったいどれが最新のファイルなのかわからなくなることもある。予算編成とは、Excelファイルとの格闘といってよい状況なのだ。
もちろん、予算編成を支援する専用ツールは少なからずあるが、この手のツールは一般に非常に高価なのも大きな問題だ。