IT基盤を「5つのレイヤー」に分けて課題をまとめると…
サーバ仮想化技術の普及によって多くの企業はITリソースを容易に調達できるようになったが、データセンターにおけるIT運用には、まだ多くの課題が残されている。
具体的な課題を説明するために、ここではデータセンターのIT基盤を、ユーザーに遠いところから「物理層」「論理層」「仮想マシン層」「ミドルウェア層」「アプリケーション層」に分け、レイヤーごとに課題を整理しよう。
物理層は、実体としてのサーバやストレージ、ネットワークなどのレイヤーだ。このレイヤーは、一般的にはいったん構築したら設定変更は少ないが、機器の更新やハードウェア障害時などがあれば作業は発生する。
物理層の上にあるのが論理層だ。論理層は仮想化を司るハイパーバイザの層にあたり、その実体は、サーバ仮想化を実現するソフトウェアである。したがって、Windowsにアップデートが必要なのと同様に、ハイパーバイザにもバッチ適用などのメンテナンスが必要になる。
ハイパーバイザ層の上で管理される仮想マシンは、物理サーバに比べて仮想マシンそのものの作成が圧倒的に楽になったが、現実にはさまざまな作業が必要になる。サーバのパフォーマンスやバックアップ、セキュリティはどうするかといった要件を検討し、申請書ベースで仮想マシンを実際の要件に合わせて作成しなければならない。
そして、仮想マシンが払い出されたら、各担当者はその要件に合わせて、仮想マシンレイヤーより下レイヤーのネットワークやストレージを設定しなければならない。このあたりの作業は、じつは物理サーバの時代とそれほど変わっていない。
さらに、その上のミドルウェア/アプリケーション層にいたっては、OSやデータベース、アプリケーションなどのインストールと設定、バッチ適用などが、極めて属人的な作業として残っている。
次の図は、5つのレイヤーにおける課題をまとめたものである。
物理層の課題は別として、ハイパーバイザから上のレイヤーにおけるさまざまな課題は、現在のデータセンターが早急に解決すべきだ。これらを解決すべく出てきたのが、「Software-Defined Data Center(SDDC)」という新たなコンセプトである。
SDDCはどのレイヤーの運用を自動化するのか?