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  • 2023/01/17 掲載

マイクロソフトがクラウド移行の「最適解」を解説、LIXILの老朽システム刷新事例も

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仮想化サーバは、いまだ多くの企業システムを支えている。それらをオンプレミスからクラウドに移行することは、経済性、柔軟性、可用性、構築スピードの速さなどのメリットがある。しかし、かかる労力や使い慣れたスキルセットでの運用ができなくなることを考えると、クラウド移行に踏み切れない企業も少なくない。こうした課題を解決するための最適解と最新情報を、マイクロソフトが解説する。

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オンプレミスのVMware vSphereのクラウド移行をどう実現するか
(Photo/Getty Images)

なぜAVSがクラウド移行の最適解となるのか?3つの特長

 情報処理システムに大きな変化が訪れる中で、多くの企業で活用されるオンプレミスのVMware vSphereのクラウド移行は避けられないだろう。クラウド移行には、いくつかの考え方・方法があるが、中でも、現行の環境をできるだけそのまま移行して、クラウドの先進機能も活用したいというニーズは高い。マイクロソフトが提供する「Azure VMware Solution(AVS)」は、まさにこうしたニーズにピッタリのソリューションだ。

 AVSは、マイクロソフトのパブリッククラウドであるMicrosoft Azureで利用できるVMwareのプライベートクラウド環境である。東日本リージョンは2020年12月、西日本リージョンは2021年11月から提供が始まり、現在では世界24のリージョンで利用可能となっている。

 日本マイクロソフト パートナー事業本部 パートナー技術統括本部 第一アーキテクト本部 クラウドソリューションアーキテクト 上級医療情報技師 瀬戸口 功(こう) 氏は、AVSの特長を次のように説明する。

「AVSはVMwareによる正式な認定・認証を受けたサービスであり、他ユーザーのインフラから物理的に分離されたVMwareのプライベートクラウド環境です。特長は3つあります。1つはマイクロソフトの1st Partyサービスであること、2つ目がオンプレミスのVMware環境と高い互換性があること、3つ目がAzureのネイティブサービスと統合されていることです」(瀬戸口氏)

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Azure VMware Solution(AVS)の3つの特長

 1st Partyサービスであるため、サポート窓口はマイクロソフトとなる。VMwareのサポートが必要な場合も、VMwareとマイクロソフトのサポートが連携して対応する仕組みとなっている。

 また、Windows ServerやSQL Serverのサポート終了日が過ぎても提供される「拡張セキュリティ更新プログラム」の無償提供、オンプレミスで使用しているソフトウェアアシュアランス付きライセンスの活用、1年間または3年間の予約インスタンスによる価格割引などの特典も用意されている。

 なお、マイクロソフトはいくつかのクラウド型VDIを提供しているが、AVSはオンプレミスのVMware環境で構築したVDI環境をそのまま移行できる最良の選択肢となる。

「オンプレミスで稼働しているVDIソリューションには、VMware vSphereを基盤とするVMware HorizonやCitrix Virtual Apps and Desktopがありますが、これらと同じアーキテクチャを持つのがVMware Horizon on AVSとCitrix on AVSです。オンプレミスと同様の機能を使いたい、運用したいという要望にこたえることが可能で、オンプレミスから移行するのに最適なソリューションとなっています」(瀬戸口氏)

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日本マイクロソフト
パートナー事業本部
パートナー技術統括本部 第一アーキテクト本部
クラウドソリューションアーキテクト
上級医療情報技師
瀬戸口 功 氏

オンプレミスとの高い互換性とネイティブサービスとの統合

 AVSは、VMware HCXによりオンプレミスとの相互運用・移行を実現できる。また、vSphereクライアント、NSXマネジャーなどのオンプレミスと変わらないツールが提供されるため、クラウドにおいても使い慣れたツールをそのまま活用できる。

「AVSには、ハイブリッドクラウドの中核技術であるHCX Advancedが標準提供されています。ワークロードのマイグレーションでは、vSphereのバージョンの差異を吸収できて、大量のVM同時移行を実現するBulk Migrationにも対応しています。また、オンプレミスとAVS間のL2延伸により、IPアドレスやMACアドレスを維持したまま仮想マシンを移動することも可能です」(瀬戸口氏)

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既存プライベートクラウドとの高い互換性

 Azureネイティブサービスとの統合もAVSの特長だ。まず、運用管理ではAzure Monitor、Azure Log Analytics、Azure App Insightsを使ってアプリケーション、仮想マシン、ネットワークの監視ができる。データ保護では、Azure Backupを使ってVMware上の仮想マシンをバックアップし、保護することが可能だ。

 また、セキュリティ面ではMicrosoft Defender for CloudとMicrosoft Sentinelを使ってセキュリティの強化と脅威の検知ができる。さらにアプリケーション基盤では、Azure Application Gatewayを使用してVMware上に展開されている仮想マシン上のWebサーバを外部公開でき、AVSの仮想マシン上のアプリケーションからSQL Databaseを利用することも可能となっている。

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Azureネイティブサービスとの統合例

 AVSにはさまざまな利用方法が考えられる。1つはクラウドの足がかりとしての利用だ。

「同一のハイパーバイザ、IPアドレス、MACアドレス、ゲストOSで移行できて、マイクロソフトの一貫したサポートによりインフラ運用からも解放されるので、最適なタイミングでのモダナイゼーションが可能です」(瀬戸口氏)

 また、セキュアでハイブリッドな災害対策環境にも適している。オンプレミスのVMware環境とAVS環境をExpressRouteまたはVPNで接続してL2延伸することで、双方向で仮想マシンを移動することが可能だ。

 さらに、IaaSへの移行が難しいシナリオ、たとえばIPアドレスを維持したままの移行、ダウンタイムなしの移行、IaaSでは稼働できないレガシーOSの移行などにも対応できる。

LIXILはシステムの老朽化をマルチクラウド戦略で解消

 AVSを活用してクラウド移行を推進する企業も増えている。たとえば、BIPROGY(旧:日本ユニシス)もその1社だ。同社はVMware製品を使った社内向けの仮想基盤システムをオンプレミスで構築し、常時200以上の仮想マシン(サーバ)を稼働していたが、その運用負荷、オンプレミス環境の管理コストの肥大化が問題となっていた。そこで、この仮想基盤のクラウド移行を決断。そのためのソリューションとしてAVSを選択した。

「AVSを選択された理由は、複数VMの同時移行やVMware製品による仮想化環境の運用継続、古いバージョンのゲストOSからの移行が可能であったことです。オンプレミスで行っていたことがそのままできて、移行・運用も含めて既存の人的リソースを活用できることが大きい要因でした」(瀬戸口氏)

 ニッセイ・ウェルス生命保険も、業務拡大にともなうITインフラの複雑化、リソース逼迫(ひっぱく)やハードウエアの保守・運用コストの増大、サポート終了を迎えたレガシーOSのセキュリティ対策などの課題を抱えていた。

「同社はAVSとL2延伸を組み合わせ、オンプレミスのサーバ内のアプリケーションを入れ替えたりバージョンアップしたりすることなく、無停止・無障害でクラウド移行を進められました」(瀬戸口氏)

 LIXILも老朽化した仮想基盤をAVSに移行した1社だ。同社は2011年に5社が統合されて誕生したという背景もあり、古いOSで稼働しているシステムや保守限界に達した機器が数多く残り、システムの老朽化が深刻な課題となっていた。そこで同社はマルチクラウド戦略のもと、複数のクラウドサービスを利用することを決断し、移行先の1つとしてAVSを選択した。

「Windows Server/SQL Serverのライセンスを追加購入することなく移行できること、サポート終了日が過ぎてもセキュリティ更新プログラムが提供される『拡張セキュリティ更新プログラム』が提供されることなどを評価してAVSを選択されました。2022年6月時点で約100のVMがAVS上で稼働し、2025年3月までに数千におよぶVMのAVS移行を予定されています」(瀬戸口氏)

あらゆるプラットフォームの一元管理が可能に

 AVSは現在も開発が進められ、機能追加・改善が進められている。たとえば、Azure NetApp FilesをAVSのデータストアとしてNFSでマウントすることが可能となっている。これは、CPUやメモリはそのままでストレージのディスク容量だけを増やしたいケースに有効だ。

 パブリックプレビューとなっている機能も多い。たとえば、「vSANストレッチクラスター」もその1つだ。これは2つの可用性ゾーン(AZ)にまたがる単一vSANクラスターを構築し、ゾーンレベルでの障害による影響を軽減する機能だ。また、カスタマーマネージドキーによりAVS上で暗号化されたvSANのデータを保護する機能もパブリックプレビューとなっている。

 Azure Arc対応VMware vSphere(パブリックプレビュー)も注目の機能だ。Azure Arcは、Azure以外のリソースをAzureで一元管理する仕組みである。Azureはもちろん、オンプレミスやマルチクラウド、エッジなどあらゆるプラットフォームをAzure Resource Managerで一元管理できる。

「Azure Arc対応VMware vSphereは、VMware vSphereのインフラをAzureで直接管理する機能です。VMware vSphereの仮想マシンの作成、開始/停止、サイズ変更、削除などのさまざまな操作をAzureから直接実行できます」(瀬戸口氏)

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Azure Arc対応VMware vSphere

 なお、AVSは「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)」にVMwareソリューションとしていち早く対応している。ISMAPは、国際標準等を踏まえて策定したセキュリティ基準に基づき、各基準が適切に実施されているかを第三者が監査するプロセスを経てクラウドサービスを登録する制度である。

 つまり、AVSは政府調達の基準をクリアする高いセキュリティを持つクラウドサービスなのだ。したがって、オンプレミスで運用しているミッションクリティカルなシステムも、安心してAVSに移行できる。

 このように、オンプレミスのVMware環境をそのままクラウドに移行するなら、AVSは非常に魅力的な選択肢となっている。同様のニーズ・課題を抱えている企業は、ぜひ注目していただきたい。

■関連リンク
  • Azure VMware Solution | Microsoft Azure

  • Microsoft Customer Story-VMware 製品による仮想化基盤のクラウド移行にあたり、日本ユニシスが Azure VMware Solution(AVS)を選択した理由

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