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  • 2025/10/01 掲載

遅くて授業にならない!の原因「無線AP」をマルチベンダーで徹底比較 その結果は?

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GIGAスクール構想のもとで教育現場のIT環境の整備が急加速し、5年が経過した。現在、大きな問題として指摘されているのが無線ネットワークの品質だ。第2期となる「NEXT GIGA」においてネットワーク機器をどのように見直すべきだろうか。こうした現状の中、ネットワンパートナーズとシスコシステムズは主要メーカーの無線アクセスポイント製品の大規模な性能検証を共同で実施。その結果から、教育現場で採用されている無線アクセスポイントの性能差と、機器選定における勘所が明らかになった。

GIGAスクール第1期で浮き彫りになった「ネットワーク」の問題

 2020年度から本格始動したGIGAスクール構想。無線LANまたはLTEなどによってインターネット接続が可能な普通教室は2024年3月時点で97.8%に達し、クラウドサービスの積極的な活用や日常的なICT活用が可能になった。しかし、第1期整備から約5年が経過した現在、ネットワークの課題が浮き彫りになっている。

 「クラウド前提の環境で1人1台の端末があるにもかかわらず、ネットワークが遅い、つながりづらいという問題が全国各地で起きています。この原因は多岐にわたりますが、利用者の実態に即した製品を選び抜けていないことが原因の1つにあると考えられます」と話すのは、シスコシステムズで公共分野のシステムエンジニアリングを担当する菅野翔太氏だ。

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シスコシステムズ
東日本公共・法人ソリューションズエンジニアリング本部
ソリューションズエンジニアリング第2部
ソリューションズエンジニア
菅野翔太氏

 第1期のGIGAスクール構想時には、もちろん校内LAN整備にあたって標準仕様が策定されたものの、まだ端末がない状態かつ授業での実際の使われ方も不明確なままで通信量を想定することは困難だったのだろう。

 だが、こうした現状を踏まえて文部科学省はネットワークアセスメントを進めており、問題箇所を特定した上で、第2期となる「NEXT GIGA」でのボトルネック解消を目指している。

学校現場に即したChromebook40台で無線APの性能を検証

 一方で、教育現場のネットワーク整備を行う側としては、市場にさまざまな事業者から製品が提供される中で、どのメーカー製の機器を導入すればよいのか悩むケースも多いだろう。そこでネットワンパートナーズとシスコシステムズは大規模な無線アクセスポイント(AP)性能検証を共同実施した。検証を主導したネットワンパートナーズのシスコ製品担当エンジニアである本田尚平氏は、製品選定の難しさと本検証の意義をこう説明する。

「無線APを提供する各ベンダーは、それぞれ独自に試験を実施し、スペックシートに掲載しています。しかし、40人程度の生徒が同時に1つの無線APに接続する前提で試験を行っているとは限りません。また、仮に同一条件だとしても、電波は確実性の保証が困難な部分があるため公平に比較できません。そこで当社のようなマルチベンダーの第三者が、学校現場に即した環境を用意し、比較結果を示したいと考えました」

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ネットワンパートナーズ
セールスエンジニアリング部 第1チーム
エキスパート
本田尚平氏

 本検証では、GIGAスクール構想で多く採用された8社の無線APを対象とし、実際の教育現場を想定した環境を構築。無線APそのものの性能を公平に検証するために、インターネット回線の影響を排除したローカルネットワーク環境を用意し、使用チャネルを固定。無線APのファームウェアは最新の推奨バージョンとし、推奨設定を施している。これに接続する端末としては、現在教育現場で多く採用されているChromebookを40台を用意した。

検証部屋の様子。40台のChromebookと天井に設置した8社の無線APで検証

 検証環境は、ネットワンパートナーズが運営するイノベーションセンター(呼称:netone valley)内に設けられた。ここには、販売パートナー企業との協業によるビジネス創出を目的としたコラボレーションエリアが用意されており、さまざまなパートナー企業とともに、多種多様なメーカー製品の検証を行う充実した環境がある。検証などのプロジェクトに参加するパートナー企業の担当者には入館証が発行され、ネットワンパートナーズ社員の同行なしで施設への入退館が可能となり、スムーズに作業を進められるという手軽さや利便性が特徴だ。

 今回の検証で同施設を利用した菅野氏も「検証部屋の外には、リラックスできるフリースペースの空間があり、非常に仕事がしやすい環境でした」と感想を語っている。

「置いてきぼり端末」を発生させないことが重要

 検証では、1APあたりの総スループットの平均と動画を同時視聴したときの平均視聴完了時間の2種類の指標で実施した。スループットの測定には、業界で標準的に用いられるツール「iPerf」によるトラフィック負荷をかけて実施した。本検証では、授業でのクラウドサービスや動画視聴に必要な最低限の帯域を1端末あたり0.7Mbpsと定義。これは文部科学省が示す学校規模別推奨帯域をもとに算出した。

 加えて「安定性」も重視した。本田氏は「スループットの全体平均が高くても、1つだけ置いてきぼりの端末があれば、教室全体としての満足度が低くなります。40台の端末すべてが平等に通信できることが重要です」と強調する。

 実際の検証結果を、まず総スループット測定から紹介したい。ダウンロード速度では各ベンダーで大きな差は見られず、0.7Mbpsを下回る低スループット端末も発生しなかった。しかし、アップロード速度では明確な差が現れ、多くのメーカーで低スループット端末が発生。中には正常にテストが完了しない製品も見られた。一方、Cisco CatalystおよびMerakiはスループットが他ベンダーより高速で、低スループット端末がなかった。

 「学校現場ではアップロードが重要です。生徒が端末で写真を撮ってGoogleドライブにアップロードしたり、作成したドキュメントをクラウドに保存したりする場面が頻繁にあるからです。アップロード性能の安定性は授業の円滑な進行に直結します」と本田氏は指摘する。

NEXT GIGAでWi-Fi7対応製品を選ぶべき理由

 さらに両社は、将来を見据えて最新無線規格「Wi-Fi7」についても同様の検証を行った。Wi-Fi7では、帯域幅の拡大や多くのデータを送信可能にする変調方式「4K-QAM」をはじめとするさまざまな進化によって、従来よりも大容量かつ高速なデータ通信が可能になる。下図はシスコの2製品を使った例だが、やはりダウンロード、アップロードともに総スループットの向上が見られた。


 Wi-Fi7にはいくつかの新機能があるが、特に注目すべきは6GHz帯活用とチャネルボンディングの効果だ。Wi-Fi7は従来の2.4GHz、5GHzに加え6GHz帯が利用可能となる

 チャネルボンディングとは、複数のチャネル(通信路)を束ねて太い道路のように使う技術と例えると分かりやすいだろう。6GHz/40MHz幅での検証結果では、Cisco CatalystとMerakiが他ベンダーより高いスループットを記録した(図左下)。

 目玉機能として、複数の周波数帯を同時に使用するMLO (Multi-Link Operation)を利用し、2.4GHzと6GHzを組み合わせた検証でも同様だ(図右下)。

 そして現在の教育現場ですぐに恩恵を受けられるのが、端末側が対応する5GHz帯の結果だ。(左上)


 「比較的安価な2ストリーム(2つのアンテナ)を搭載するAPでも、シスコ製品は200Mbpsを超える性能を発揮しました。コストパフォーマンスに優れるAPで、これだけの速度を出せるのはシスコ製品だけでした」と本田氏は語る。

 本田氏によると、まだPC端末側が Wi-Fi7 に対応していないものが多いため、今すぐWi-Fi7のAPを導入して効果を実感できる場面は限定的だというが、機器更新のライフサイクルを考えると、Wi-Fi7レディな環境を整える好機だ。今Wi-Fi7対応のネットワーク環境を整えておくことで、PC端末が対応した際に即座にメリットを享受できるようになる。

検証する重要性とそのための理想的な環境

 今回は、シスコシステムズとのネットワーク機器の性能検証であったが、ネットワンパートナーズでは、充実した検証環境とマルチベンダーである特性を活かして、日々各メーカーのさまざまなジャンルの製品の比較検証を積極的に実施している。こうして、スペックシートだけではわからない実環境での性能や、細かな仕様の存在など多くの知見を獲得しているのだ。

 たとえば、Wi-Fi7の新機能MLOでは、当初5GHzと6GHzを束ねた検証を想定していたが、端末側の仕様で2.4GHzと6GHzの組み合わせしかサポートしていないことが判明した。こうした情報は公開されておらず、実際に検証してみて初めてわかることだ。また、一部APベンダーでは「MLO対応」をうたっているものの、実際の検証時点では利用できないケースが確認された。

 菅野氏も、今回の検証に参加した感想として、「シスコはワイヤレスのトップメーカーとして、公平に比較検討するための材料を示す責務があると考えていたところでしたので、検証に協力できたことは幸いでした」と語る。

 さらに、ネットワンパートナーズの環境や体制面について、「当社でも機器を検証できる場所はもちろんありますが、netone valleyは検証環境として、非常に整備されていると実感しました。また、本田さんはじめ、シスコ社員よりも詳しいのではないかと思うほど製品に精通したエンジニアが多数在籍されているので、検証環境の構築から実際のオペレーションまで、特に不安に感じることなくリードしていただきました。このように信頼して任せられる会社と協業することは重要だと考えています」と評価する。

NEXT GIGAにおける理想的な無線環境構築をサポート

 ネットワンパートナーズでは、すでにさまざまなメーカーやSIerなどのパートナー企業と連携して各種製品に関する豊富な知見や技術力を蓄積しているが、今後も引き続き多くの企業との協業を歓迎しているという。

 特に無線ネットワークについては、電波干渉など現場の物理的な外的要因による影響を受けやすく、またそうした環境は実際の教育現場によっても多種多様だ。本田氏も、「検証環境の構築中、電波干渉によるパフォーマンスへの影響が見られた場面もあり、製品を比較する際には、しっかり検証してみることの重要性を改めて痛感しました。スペックシートだけでの判断を避け、学校現場に即した環境での性能を確認し、さらに将来性や運用面も加味することをおすすめします」と呼びかける。

 菅野氏も「多くのメーカーが、電波干渉を自動的に回避する機能を実装していますが、メーカーによって検出可能な干渉波の種類や検出タイミングなど、電波干渉回避のアルゴリズムに差があります」と話し、実際に比較検証することの必要性を示唆した。

 なお、今回紹介した検証結果は概要のみだが、ネットワンパートナーズでは、個別に相談があった際にその詳細を紹介することもできるという。教育現場のネットワーク整備に携わっている担当者は、ぜひネットワンパートナーズに問い合わせてみてはいかがだろうか。

※Cisco、Cisco Systems、および Cisco Systemsロゴは、Cisco Systems, Inc. またはその関連会社の米国およびその他の一定の国における登録商標または商標です。

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