- 2025/12/12 掲載
【今日から】完全施行「改正建設業法」を徹底解説、「安すぎる契約」はもう許されない(4/4)
ポイント(5):技術者専任義務の緩和
建設業界では、決められた請負金額を超える案件の現場において、技術者を専任で配置しなければならないルールがあり、特に中小企業にとって大きな負担となっていました。技術者不足が深刻化する中で、専任を求められることは、現実的な対応を困難にし、経営にも影響を及ぼしていたのです。こうした実態を踏まえ、今回の改正で、主任技術者や監理技術者の「専任義務の緩和」が実施されました。営業所の専任技術者においても、専任が必要な現場との兼務を認める方向に見直されています。
具体的には、一定規模以下の工事については、遠隔臨場(注)などの技術を活用することで、1人の技術者が複数現場を兼任できるようになりました。これにより、限られた人材をより効果的に配置することが可能になります。
遠隔臨場では、現場の映像や音声をリアルタイムで確認しながら、必要な指示や確認を行うことができます。
もちろん、すべての現場でこれを導入すればよいというわけではなく、施工体制や通信環境、労働時間の管理体制など、一定の条件を満たすことが求められます。しかし、要件をクリアすれば、現場を回しながら品質管理と法令順守を両立できる大きなメリットがあります。
この制度改正は、単なるルールの緩和ではなく、「限られた人材をどう生かすか」という視点から、人手不足に立ち向かうための柔軟な働き方改革でもあります。中小企業にとっては、現場管理の負担を軽減しつつ、処遇改善へリソースを向けやすくなる効果も期待できます。
まとめ:本当に守られるのか?現場が迎える変化とは
制度は整いました。ここから問われるのは、それを現場でどう使いこなすかです。特に、民間工事においての実行可能性については、今後、国や都道府県などが様々な角度から積極的に関わっていけるかにかかっているでしょう。また、この法整備をきっかけに、元請業者などの違反行為があれば、下請業者などから行政に対して通報することも考えられます。並行して、建設Gメンの活動もより活発的になる可能性も考えられます。
処遇改善も、人手不足の解消も、“制度があれば勝手に良くなる”ものではありません。最終的には、各企業がどれだけ本気で取り組むかにかかっています。自社の判断と行動が、業界の未来を形づくる力になります。今こそ、一歩を踏み出すときです。
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