• 2025/12/19 掲載

「さすがトヨタ…」EV減速は誤算ではない──流されなかったトヨタの判断力(3/3)

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今後はどうなる?2026~2030年のEV市場見通し

 EV市場の長期見通しを見ると、2026~2030年にかけては「量的拡大」と「地域差の拡大」が同時に進む局面に入る可能性が高い。

 IEAは、各国が現在の政策を維持した場合、2030年の世界EV販売台数は3500万~4000万台規模に達し、新車販売に占める比率は35%前後になると見込んでいる。ブルームバーグNEFも、中国と欧州が市場の中核を占める一方、北米や新興国では成長スピードにばらつきが残るとの予測を示す。

 EVは長期的に主流化するが、一様な成長曲線ではなく、地域・価格帯・用途ごとに異なる時間軸で普及が進むとの見方が主流になりつつある。

 2025年以降、部品・設備メーカーにとって重要なのは、EVが伸びるか否かではなく、どの領域で、どのスピードで需要が立ち上がるかを見極めることだ。需要は大きく3つのシナリオに分かれる。

 第1は、EV専用領域の段階的成長だ。モーター、インバーター、電池関連部品、EV専用組立設備は2030年に向けて需要拡大が見込まれる。ただし成長は直線的ではなく、価格競争や補助金政策の影響を強く受ける。

 第2は、HV・PHEV向け部品の想定以上の長期需要だ。IEAは2030年時点でも内燃機関を含む車両が世界販売の過半を占める可能性を示している。エンジン補機やパワーコントロール系など、EV一本化で消えると見られていた部品の一部は需要が続く可能性がある。

 第3は、汎用性の高い柔軟生産ラインへの需要拡大だ。EV専用設備のリスクが顕在化したことで、完成車メーカーは今後、パワートレーンを切り替え可能な柔軟ラインを重視する傾向を強めるとみられる。設備メーカーにとっては、改造・更新・モジュール化需要が増える局面に入る。

画像
2026~2030年のEV市場の見通し

(画像:本文をもとにAI(Gemini/Nano Banana)を使用して生成しています)

 これらを総合すると、2025年以降に求められるのは、EV一本張りでも否定でもない、需要の時間差を前提としたポートフォリオ設計だ。トヨタの戦略が結果的にサプライチェーンの安定性を高めたように、柔軟な投資判断が今後の競争力を左右することになりそうだ

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