いまや我々の生活はデータセンターなしには成立しない。FacebookやTwitterなどのソーシャルネットワーク、24時間好きなときに買い物ができるオンラインショップ、ストレージや写真共有、メール、ストレージなどの便利なクラウドサービス……等々。すべてはデータセンターによって支えられている。
企業も同様だ。企業システムをデータセンターに置き、クラウド化する流れはますます加速している。東日本大震災以降、事業継続の観点からシステムの二重化やバックアップ用にデータセンターを活用する企業も増えた。データセンターはまさしく我々の社会を支えるインフラなのである。
そのデータセンターでいま大きなトレンドの変化が起きようとしている。テーマは「冷却」だ。シュナイダーエレクトリック ビジネス・デベロップメント プロダクトマネージャー 水口浩之氏は次のように語る。
「日本のデータセンターの冷却方法はパッケージエアコンが主流です。既存のデータセンターの70~80%はパッケージエアコンと言われています。これは冷媒ガスをコンプレッサーで圧縮して熱交換する方式で、仕組みとしては家庭用エアコンと同じです。パッケージエアコンの課題は室外機の設置スペースを必要とすることです。室内機を増やせば増やすほど室外機も必要となるため、ビルの屋上やバルコニーが室外機でいっぱいになるケースは少なくありません。もう1つの課題は消費電力です。冷媒ガスをコンプレッサーで圧縮するため、大量の電力を消費し、データセンターの電力消費の大半が空調にかかってしまうのです」(水口氏)
いうまでもなく、福島第一原発の事故以来日本の電力事情は逼迫している。将来、再生可能エネルギーの固定買い取り制度が始まればその負担は電気使用者が負うことになる。当面は、電気料金が上がることはあっても下がることはないだろう。
一方、データセンターへのニーズは年々増大している。ニーズの増大はデータセンターの発熱量の増大につながる。したがって、いかに省エネし効率的に冷却するかはデータセンター経営の根幹に関わる重大事なのである。
そして、いまデータセンターの冷却方式に大きなトレンドの変化が起きつつあるという。従来のパッケージエアコンから、水を使って冷却する方式が注目されつつあるのである。
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