いま、ITモダナイゼーションが注目される理由とは
これまで十数年も使ってきた基幹システムをはじめとする古いITシステムを、最新のIT技術に対応させて、システムの信頼性や可用性、利便性、柔軟性を高めるのが「ITモダナイゼーション」だ。昨年の2015年あたりから、急速に注目を集めるようになった。
この背景には何があるのか。長年、ITモダナイゼーションのサービスを提供してきたコベルコシステム インダストリーソリューション本部 東日本第1開発部 部長 秋山豊氏は次のように説明する。
「長期間使い続けてきた基幹システムが老朽化し、ハードウェアのリプレースが必要になっていることと、システムで使われている言語が古く、対応できる技術者が減っていることから、対策を真剣に考える企業が増えているのが大きな理由です。さらに、現行の古いIT基盤では、そもそも現在の変化の激しいビジネスに追従できないという課題もあります」(秋山氏)
ただ、長年、使い続けてきたITシステムに手を入れることは容易ではない。プロジェクトの規模もコストも大きくなるのは目に見えている。しかも、ただ最新の環境に移行するというだけでは、得られる効果は見えづらい。企業の経営層にとっては、差し迫った課題ではあっても、その全体像がつかみづらく、決断を下すことが難しいのが、ITモダナイゼーションといえるだろう。
「単純に移行するだけではなく、どのようにしてビジネス上の価値を高めることができるのか。それがITモダナイゼーション最大のポイントです」
ITモダナイゼーションには一般的な9つの手法があるが、秋山氏によれば、費用対効果を高めるには、IT戦略に見合った適切な手法の選択や各種手法を組み合わせることが重要だという。
ITモダナイゼーションの9つの手法と「マイグレーションミックス」