もう「AIに奪われない仕事」ではない…営業部門を変革する“AI導入”の始め方

AIに「奪われない」仕事として語られてきた営業・セールス。その常識が、いま音を立てて崩れようとしている。生成AIの登場で、マーケティングやカスタマーサポートの業務はすでに激変した。そしてついにセールス部門にも、生成AIの波が押し寄せている。では具体的に、営業のどのような業務領域で生成AIは輝くのだろうか？最前線で起きている驚きの変化について、グローバルインサイト CEO 水嶋玲以仁氏と同社 CCO 天白由都氏が語った。

AIがついに営業現場に降りてきた

　過去にAIブームは何度かあったものの、その影響力はIT関連の技術者・研究者の範囲に留まっていた。

　「しかし昨今のAIブームは技術の世界を越え、非ITのビジネス部門や消費者にまで影響を及ぼしています」と語るのは、これまで多くのIT企業で営業・マーケティングの発展に携わってきたグローバルインサイト代表取締役 CEO 水嶋玲以仁氏だ。

　その大きな違いは「ヒトらしさ」にあるという。生成AIが登場し、人間がAIと自然言語でコミュニケーションできるようになり、人間はAIを隣人や同僚のように受け入れてきている。国内外の著名企業で先端テクノロジーの事業戦略に携わってきた同社の取締役 CCO 天白由都氏は次のように語る。

「これまでのAIはあくまでも定型的な仕事を中心に適用されてきました。人間があらかじめ定義したルールや手順通りに、高い精度で成果を出すことが期待されていたのです。一方、昨今のAIは空気を読むかのごとく曖昧な表現も理解するようになり、定義しづらい仕事でも適用が広がっています」（天白氏）

　こうした中、これからAIの影響力が伸びてきそうなのがセールス部門だ。少し前まで、セールスは顧客と直接向き合い、漠然とした要望をくみ取るため、まだAIが効果を出しにくい領域とされてきた。しかしそうした認識はもはや古いものとなった。

　ここからは、セールス業務におけるAI活用事例や、効果の出やすい生成AI導入の勘どころを具体的に紹介する。

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