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- 2023/09/05 掲載
Tractus-X(トラクタスX)とは? Catena-X構想の成否を決める超重要プロジェクトの全貌
連載:第4次産業革命のビジネス実務論
アルファコンパス 代表CEO
中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)
1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。同年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げに携わり、その後、インダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「
DiGiTAL CONVENTiON」の立ち上げ・編集長などをつとめ、2024年に退職。
2020年にアルファコンパスを設立し、2024年に法人化、企業のデジタル化やマーケティング、プロモーション支援などを行っている。
主な著書に『デジタル・プラットフォーム解体新書』(共著:近代科学社)、『デジタルファースト・ソサエティ』(共著:日刊工業新聞社)、『製造業DX - EU/ドイツに学ぶ最新デジタル戦略』(近代科学社Digital)がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。2024年6月より現職。
Tractus-Xとは
Tractus-X(Eclipse Tractus-X)とは、Catena-Xが主導するデータ連携基盤に参加・接続するための開発環境・開発ツールの整備・提供を行う、Catena-X公式のオープンソースソフトウェア(OSS)プロジェクトです。Tractus-X はOSSの開発環境(Eclipse)を整備し、アプリケーション開発者や企業に対してSDK(Software Development Kit:ソフトウェア開発キット)を提供するという役割を担っています。実際に、Tractus-Xの公式サイトからダウンロードしたSDKやドキュメントがフリーで使えます。
なお、Tractus-Xは、Eclipseの運営およびオープンソースコミュニティと関連製品・サービスの発展を支援する非営利団体「Eclipse Foundation」の傘下のプロジェクトでもあります。
Tractus-Xの重要な役割
Tractus-Xは、開発者によるサービスやアプリケーションの開発や運用を加速し、エコシステムが迅速にスケーリングできるようにするための、サポートも担っています。具体的には、インターオペラビリティ(相互運用)可能であり、かつ革新的なアプリケーションの開発と、Catena-Xへのオンボーディングを加速するために、コアサービスとイネーブリングサービスのリファレンス実装とKITs(ソリューションプロバイダー向けの開発キット)の提供を進めるとしています。
なお、リファレンス実装は誰でも使える(フリーな)オープンソースのソフトウェア(FOSS)コンポーネントとして提供されます。これらはTractus-Xプロジェクトで管理され、Catena-Xなどで使用されることになるわけですが、GAIA-XやIDSA(International Data Spaces Association)のような、ほかのプロジェクトで開発されたリファレンス実装もTractus-Xプロジェクト経由で提供可能になるとされています。さらに、誰でも自由にリファレンス実装を使用、変更、配布することができる仕組みとなっています。
しかし、リファレンス実装は通常、顧客や市場にそのまま提供できるものではなく、市場に提供するためには一定規模の開発行為が必要になります。そうした開発をソリューションプロバイダーなどが実施するためのベースとして、Catena-Xは、コアサービスとイネーブリングサービスのための最初のリファレンス実装をOSSとして提供するとしています。 【次ページ】Catena-Xに 「Tractus-X」が欠かせない理由
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