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  • 2023/09/26 掲載

元FF開発者の「JP GAMES」は何が凄い?大企業がこぞって協業を望む納得の理由

連載:デジタル産業構造論

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近年、「デジタルツイン」や「メタバース」など3D関連技術を活用し、既存ビジネスを変革しようとする動きが、製造業に限らず建設や医療、金融、小売など幅広い業界で起きている。そうした流れに伴い、現在、3D技術に長けたゲーム会社と企業の連携が加速している。特に、あらゆる産業プレイヤーと連携し注目を集めているゲーム会社が、『FINAL FANTASY XV(ファイナルファンタジー15)』のディレクターであった田畑端氏が率いる、JP GAMES(JP UNIVERSEグループ)だ。業界の台風の目となっている、JP GAMESとは一体何者なのか。

執筆:JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ 小宮昌人

執筆:JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ 小宮昌人

JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ プリンシパル/イノベーションストラテジスト、慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科 研究員。

日立製作所、デロイトトーマツコンサルティング、野村総合研究所を経て現職。22年8月より官民ファンド産業革新投資機構(JIC)グループのベンチャーキャピタルであるJICベンチャー・グロース・インベストメンツ(VGI)のプリンシパル/イノベーションストラテジストとして大企業を含む産業全体に対するイノベーション支援、スタートアップ企業の成長・バリューアップ支援、産官学・都市・海外とのエコシステム形成、イノベーションのためのルール形成などに取り組む。また、22年7月より慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科 研究員としてメタバース・デジタルツイン・空飛ぶクルマなどの社会実装に向けて都市や企業と連携したプロジェクトベースでの研究や、ラインビルダー・ロボットSIerなどの産業エコシステムの研究を行っている。

専門はデジタル技術を活用したビジネスモデル変革(プラットフォーム・リカーリング・ソリューションビジネスなど)、デザイン思考を用いた事業創出(社会課題起点)、インダストリー4.0・製造業IoT/DX、産業DX(建設・物流・農業など)、次世代モビリティ(空飛ぶクルマ、自動運転など)、スマートシティ・スーパーシティ、サステナビリティ(インダストリー5.0)、データ共有ネットワーク(IDSA、GAIA-X、Catena-Xなど)、ロボティクス、デジタルツイン・産業メタバース、エコシステムマネジメント、イノベーション創出・スタートアップ連携、ルール形成・標準化、デジタル地方事業創生など。

近著に『製造業プラットフォーム戦略』(日経BP)、『日本型プラットフォームビジネス』(日本経済新聞出版社/共著)があり、2022年10月にはメタバース×デジタルツインの産業・都市へのインパクトに関する『メタ産業革命(仮)』(日経BP)を出版予定。経済産業省『サプライチェーン強靭化・高度化を通じた、我が国とASEAN一体となった成長の実現研究会』委員(2022)、Webメディア ビジネス+ITでの連載『デジタル産業構造論』(月1回)日経産業新聞連載『戦略フォーサイト ものづくりDX』(2022年2月-3月)など。

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JP GAMESの事業展開のイメージ(後ほど詳しく解説します)
(出典:JP GAMES公表資料より筆者作成)

大林組・日産らも? 企業がゲーム技術を取り入れる理由

 企業がデジタルツインメタバースの活用を考える際、ゲーム会社との連携は重要な戦略となり得る。それは、ゲーム会社は3Dを効果的に活用し、人を体験へ没入させるプロであるからだ。3Dを駆使した体験価値の創出を得意とするゲーム会社との連携の在り方次第で、今後の企業の成否は決まるかもしれないのだ。

 すでにゲーム業界の技術が産業分野で活用される事例などもある。 たとえば、『ポケモンGO!』や『フォートナイト(Fortnite)』など、世界的に知られるゲームに活用されている3D空間を構築する技術(ゲームエンジン)が、建設現場におけるシミュレーションなどで使われ始めている。

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主なゲーム企業との連携やゲームの要素を活用した産業分野での取り組み
(出典:筆者作成)

JP GAMESとは何者か?

 このような時代で、ゲーム技術を活用し、ANAとのメタバース旅行プラットフォームの展開をはじめ、幅広い産業プレイヤーと連携している注目の企業がJP GAMESだ。

 JP GAMESは、スクエア・エニックスの『FINAL FANTASY XV(ファイナルファンタジー15)』のディレクターであった田畑端氏が2019年に創設したゲーム開発企業である。RPGのエキスパートが揃う同社のゲームは、今年6月末に開催された国内最大級のWeb3ゲームピッチコンテスト「SHAKE!KYOTO」にて、最優秀賞を含む4つの賞を獲得するなど、ゲーム業界でも注目度は高い。

 そんなJP GAMESは2022年からグループ会社化された。束ねるのがJP UNIVERSEだ。同グループには、コンテンツと技術の開発を担うJP GAMESと、プラットフォームの構築・複数のメタバースをつなぎ合わせるメタバース経済圏の展開を担うJP UNIVERSE、メタバース経済圏の利便性向上と拡大を担うソリューション開発を行うLOGSYSなどがあり、JP UNIVERSEグループとして各社の専門性を生かした事業展開を行っている。

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JP Unverseグループの全体構造
(出典:JP GAMES)

 JP GAMESは、個別のメタバース空間・ゲームを作り込むとともに、その技術を汎用化したミドルウェアプラットフォームとして横展開を図り、多様なユーザーがメタバースを活用できるように展開している。

 加えて、自社プラットフォームで構築されたメタバースに限らず、外部プラットフォーム上で構築されたメタバースも含め、細分化している多様なメタバースをつなぎ合わせて相互運用性を担保し、メタバース経済圏を創出することを目指しているのだ。

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JP GAMESの産業メタバースプラットフォームとしての展開
(出典:筆者作成)

FFに通じる? JP GAMESの「メタバース哲学」とは

 JP GAMESを立ち上げた田畑氏は、過去にFF開発チームで大事にしていたゲーム開発の考え方の基礎を、JP GAMESの事業でも重視している。それは、「遊び」だけのゲームを作るのではなく、「世界」としてもゲームを作ることが重要であり、創り上げる世界観とシナリオやシステムをつなぎ合わせ高精度な仮想世界を作りこんでいくというものだ。このアプローチであれば、他産業でもゲーム業界の技術を活用できると考えたわけだ。

 そもそも田畑氏はゲームというものを、2つの要素の組み合わせを、ユーザー操作と結びつけることによって成り立っていると考える。1つはユーザーが没入していく舞台とストーリー、そこでの役割を与える「世界観」(ユーザーの右脳を刺激)、もう1つが目的設定・報酬・成長とインセンティブ設計・戦闘方法、仲間との戦略性などのゲーミフィケーションの要素で構成されるロジック・装置である「ルール」(ユーザーの左脳を刺激)だ。

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JP GAMES
代表取締役
田畑 端 氏

 メタバース世界を創る際にも、この2つの要素は欠かせない。たとえば、メタバース空間では、ユーザーが果たす役割や、その役割を果たすために経るプロセス・体験、達成のためのストーリーを定義することが必要であり、さらに言えば、ユーザーが体験することになる疑似的な人生を表現し、自己実現やウェルビーイングを実現できる、現実以上に有意義なオンライン空間を構築することが重要になるという。

 また田畑氏はメタバースを、RPGを拡張したコミュニケーション空間サービスと捉えている。メタバース空間を創出する際に、世界観やコンテンツを作り込むところから進めるのではなく、全体のサービス構造やビジネスモデルを定義し、課題とそれを解決するための体験を設計してから、その上でコンテンツとしてのクリエイティブを作りあげる順序が重要だと考えている。

 これらのゲーム開発のアプローチを、同社はゲーム産業を超えて幅広い産業に展開しているのだ。ここからは、多くの企業が信頼を寄せる産業メタバース時代のキープレイヤーJP GAMESがどのような企業と連携し、何の開発に取り組んでいるのかを解説したい。 【次ページ】JP GAMES×メガバンクらで何を創出?壮大な経済圏構想

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