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- 2025/09/22 掲載
人気の吉祥寺駅を生んだ…JR中央線の「JRぽくない異端児の戦略」がスゴイ理由
連載:小林拓矢の鉄道トレンド最前線
1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学教育学部社会科社会科学専修卒。「東洋経済オンライン」「ITmedia」「マイナビニュース」などに執筆。Yahoo!ニュースエキスパート。単著に『京急 最新の凄い話』(KAWADE夢文庫)、『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)など。共著に『関西の鉄道 関東の鉄道 勝ちはどっち?』(新田浩之氏との共著、KAWADE夢文庫)、首都圏鉄道路線研究会『沿線格差』『駅格差』(SB新書)などがある。
JRでは異端児…「中央線」の私鉄みたいな成長戦略
JR東日本が運営する「中央線」は、JR各線の中でも“JR線らしくない路線”と言える。その特徴を見ていきたい。中央線は、複々線区間は御茶ノ水~三鷹までで、有料特急も快速列車も同じ線路を走る。さらに、甲府・大月・松本方面から伸びる「中距離電車」は、東京・新宿などの都心の主要駅へは原則乗り入れず、途中駅の高尾または八王子でいったん終点となり、都心行きに乗り換える方式になっている。
一方で、宇都宮線や高崎線、東海道線(熱海方面)は事情が異なる。宇都宮・小山方面や高崎・前橋方面からの普通・快速でも、多くが上野東京ラインを通って都心駅へ、あるいは湘南新宿ラインで都心方面へ直通している。同じ中距離電車でも「そのまま都心に直通」しているのが宇都宮線・高崎線であり、「途中で区切り、乗り換えてもらう設計」としているのが中央線なのだ。
このように、途中駅で“乗り換え前提”としているのは、中央線が通勤・通学輸送と特急列車の運行に特化していることの現れだ。速度や停車パターンの異なる列車を都心側に混在させないことで、ピーク時の本数を確保しやすくし、遅延も抑えられる。遠方からの速達需要は有料特急が担い、一般の中距離利用は境界駅での乗り換えを前提とする。そうした“全体最適”のダイヤが組まれているのだ。
列車の顔ぶれも多彩であり、中央・総武緩行線の各駅停車、快速線の快速、中央特快、青梅特快、通勤快速、通勤特快などの列車種別があり、快速線では列車種別の高低で追い抜きなどが多く見られる。
このように少ない線路に、多様な列車が走り、それにより沿線住民の需要に応えているのが中央線である。一本の路線に多様な列車が共存する様子は、小田急鉄道や東急電鉄のような私鉄を連想させ、沿線住民や鉄道ファンの関心を集める1つの要素となっているのだ。
中央線の「超細かいダイヤ」が生む“効果”とは
中央線は、路線を走る列車も私鉄の運営スタイルに似ている。多く私鉄は、列車種別を多様に揃え、さまざまな需要に応えようとしている。たとえば、隣の駅まで行く人も、都心のターミナル駅まで行く人も便利に利用できるよう、各駅停車や急行など、あらゆる列車を用意している。
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