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  • 2025/09/24 掲載

【2025年調査】製造業「生成AIの利用実態」、設計・調達部門に見えた…“ある課題”

連載:第4次産業革命のビジネス実務論

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2025年8月、DX推進の支援・コンサルティングなどを行うINDUSTRIAL-X は、2020年~2024年に続いて実施した「DX推進/AI活用における課題と意向調査(2025)」結果を発表しました。タイトルに示されているように、本年は、従来のDX推進の意向に加え、生成AI活用の意向についても調査をしています。本記事では、この調査で明らかになった、日本企業のDX推進やAI活用の課題、必要となる新たな検討事項について見ていきます。
執筆:アルファコンパス 代表CEO 福本 勲

アルファコンパス 代表CEO 福本 勲

アルファコンパス 代表CEO
中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)

 1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。同年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げに携わり、その後、インダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「 DiGiTAL CONVENTiON」の立ち上げ・編集長などをつとめ、2024年に退職。
 2020年にアルファコンパスを設立し、2024年に法人化、企業のデジタル化やマーケティング、プロモーション支援などを行っている。
 主な著書に『デジタル・プラットフォーム解体新書』(共著:近代科学社)、『デジタルファースト・ソサエティ』(共著:日刊工業新聞社)、『製造業DX - EU/ドイツに学ぶ最新デジタル戦略』(近代科学社Digital)がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。2024年6月より現職。

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日本企業のDX推進やAI活用の課題とは…?
(Photo/Getty Images)

DX・生成AIの取り組み状況

 INDUSTRIAL-Xは、DX推進/AI活用に必要なさまざまなリソースをスピーディに提供することによって、企業および自治体の次世代型事業への構造変革を支援するビジネスを行っている企業です。

 同社が「DX推進/AI活用における課題と意向調査」を2020年から毎年継続して実施している目的は、企業におけるDX推進/AI活用状況の変化を明らかにすることにあります。

 本調査は、調査モニターを用いたインターネット定量調査にて2025年6月に実施し、大手・中堅・中小企業ごとに206名ずつ合計618名(昨年2024年も合計618名)から回答を得ました。

 DX・生成AIへの取り組みの進捗状況について、2024年上半期(当時を振り返る形で回答)と現在(2025年6月)それぞれについての回答を比較すると、「全社的に取り組んでいた/全社的に取り組んでいる」の割合は、DXで2.1ポイント(27.5%→29.6%)、生成AIで4.9ポイント(15.2%→20.1%)と前年比で増加しています。一方、生成AIについては「取り組んでいなかった/取り組んでいない」の割合が50%を超えています。

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DX進捗状況
※グラフの数値は、2024年上半期、現在(2025年6月)それぞれのDX進捗状況(いずれも単数選択)の回答割合
(出典:INDUSTRIAL-X「DX推進/AI活用における課題と意向調査(2025)」2025年8月)

 また、DXについての2024年上半期と現在の変動率が小さくなっています。全社的な取り組みが進んでいるか否かについては企業による温度差があると考えられ、かつ、この温度差が経年で埋まっていないことが想定されます。

 今後はDX・生成AIに取り組む企業と、取り組まない企業の差がより一層広がっていくことが懸念されます。

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生成AI進捗状況
※グラフの数値は、2024年上半期、現在(2025年6月)それぞれの生成AI進捗状況、(いずれも単数選択)の回答割合
(出典:INDUSTRIAL-X「DX推進/AI活用における課題と意向調査(2025)」2025年8月)

DX推進における「最新の課題」

 DXを推進する上で直面している課題について、2024年上半期時点と現在それぞれについての回答を比較すると、継続して「DXを推進する人材・体制が不足している(不足していた)」が最も回答割合が高くなっていることがわかります。

 「DX人材の確保・育成」に関する回答割合は2022年以降継続して高くなっていますが、2024年から2025年にかけて回答割合自体は微減(40.8%→37.0%)しています。

 その代わりに、「成果が見えにくく継続が難しい(難しかった)」(13.0%→15.9%)、「DX推進において疲れが見られる(見られた)」(4.7%→5.9%)が微増しており、DXの取り組みを進める一部企業においてDXの成果が感じられず疲弊が起きていることが考えられます。

 また、DXを推進する上で、少しずつ人材以外の領域にボトルネックが移行しつつある状況も見て取れます。

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DX推進において直面している課題
※グラフの数値は、2024年上半期、現在(2025年6月)それぞれのDX推進において直面している課題(取り組んでいない/いなかったを除外)(いずれも3つまで選択)の回答割合
(出典:INDUSTRIAL-X「DX推進/AI活用における課題と意向調査(2025)」2025年8月)

DX推進の目的

 DX推進の主な目的について、2024年上半期時点と現在それぞれについての回答を比較すると、「業務の自動化・効率化」(72.6%→67.5%)が微減しているものの圧倒的に多く、「顧客体験の向上」(9.2%→9.8%)や「新規事業の創出」(6.5%→7.4%)などは微増しているものの、その割合は低くなっています。

 多くの日本企業において、DXの目的が既存ビジネスの効率化に留まり、なかなか新たなビジネス創出などの取り組みを推進できない状況が続いていましたが、この状況に大きな変化が見られないと考えられます。

 目先のROIなどを重視しすぎていることなどがその背景にあると想定され、その結果、本来のDXの取り組みに目が向かないか、または変革の姿勢を企業内に浸透しきれていないことなどが推察されます。

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DX推進の主な目的(DX取り組み経験ありベース)
※グラフの数値は、2024年上半期、現在(2025年6月)それぞれのDX推進の主な目的(DX取り組み経験ありベース)(いずれも単数選択)の回答割合
(出典:INDUSTRIAL-X「DX推進/AI活用における課題と意向調査(2025)」2025年8月)

現場の「DX・生成AI活用状況」

 現場レベルでのDX・生成AIの活用状況について、2024年上半期時点と現在それぞれについての回答を比較すると、現場レベルでのDX・生成AI活用できている割合(「複数業務でDXや生成AIが業務に統合されている(統合されていた)」、「社内全体に広がり日常業務で使われている(使われていた)」の合計)はDX(42.9%→48.4%)、生成AI(27.8%→36.4%)のいずれも増加していますが、2024年からの上昇率では生成AIの方が高くなっています。

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