• 2025/08/29 掲載

儲けすぎ?AppStoreだけでついに「国家規模」に…アップル帝国好調を支える “3要素”

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今秋に発売が期待されるiPhone17に注目が集まっているアップルだが、その陰でアプリ配信プラットフォームであるApp Storeの経済規模が驚異的な成長を遂げている。2024年の世界取引額は1兆3000億ドルに達し、週8億人以上が利用する経済圏となり、経済規模では「中堅国家」並みの巨大さを誇る。その内訳を見ると収益を支える「3つの柱」が見えてくる。それは一体何か。アップルを下支えするAppStoreの現状を解説する。
執筆:細谷 元

細谷 元

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

  構成:ビジネス+IT編集部
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巨大経済圏となったApp Storeの最新動向を解説する
(Photo/Shutterstock.com)

App Storeの経済規模は「中規模国家」並み?

 アップルが2025年6月に発表した最新の経済調査がテクノロジー業界に衝撃を与えている。米国のApp Storeエコシステムが2024年に生み出した開発者の取引額が2019年の1,420億ドルから5年間でほぼ3倍となる4,060億ドル(約58兆円)に達したことが明らかになったためだ。これは中規模国家の経済に匹敵する規模である。単なるアプリ配信プラットフォームの域を超えた巨大な経済圏として、その動向にますます注目が集まっている。

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今やAppStoreはプラットフォームの域を超えた巨大な経済圏だ

(Photo: BigTunaOnline / Shutterstock.com)

 調査を実施したのは、ボストン大学クエストロム経営大学院のアンドレイ・フラドキン教授とアナリシス・グループのジェシカ・バーリー博士。4060億ドルの内訳を見ると、2,770億ドルが実物商品/サービス、750億ドルがアプリ内広告、530億ドルがデジタル商品/サービスからの収益だった。

 グローバル規模で見ると、App Storeエコシステムの影響力はさらに際立つ。2024年の世界全体での取引額は1兆3,000億ドル(約187兆円)に上り、週平均8億1300万人が訪れ、週8億3900万件のアプリがダウンロードされていることが判明。アクティブなアプリ数は、パンデミック前には180万本だったが、現時点では195万本に増加した。

 成長の原動力となっているのは、フードデリバリーや小売分野の急拡大だ。リテールと食料品配達は5年間で4倍以上に増加、また旅行予約やフード配達・ピックアップも配車サービスを上回る規模に成長した。米国の開発者に限定しても、過去5年間で収益は大幅に増加。特に中小規模の開発者は2021年から2024年の間に76%の収益増を記録し、大手企業以上の成長率を示している。

AppStoreをめぐる「ある大きな変化」

 そもそもApp Storeとは、どのような仕組みで動いているのだろうか。

 App Storeを一言で説明すると、約20億台のアップルデバイスと195万本のアプリを結びつける「双方向プラットフォーム」と言えるだろう。200の地域で税務処理を行い、45通貨でのローカライズ価格設定に対応。世界中の開発者とユーザーをシームレスにつなぐ決済インフラを提供している。

 1日あたり40億件以上のアプリダウンロード、週8億1300万人の訪問者、さらにはインストール時のキーワード検索にも対応できる強力なCDN(コンテンツ配信ネットワーク)がその技術的中核にある。

 開発者がApp Store Connectを通じてアプリをアップロードすると、アップルは静的・動的コードスキャン、手動レビュー、プライバシーチェックを実施する。2024年の実績を見ると、770万件の申請を審査し、190万件(約25%)を却下した。却下理由の内訳は、プライバシー違反が40万件、スパムや偽装が32万件と品質管理の徹底ぶりがうかがえる。

 収益構造はシンプルだが巧妙だ。アプリ内購入や初年度サブスクリプションには30%の手数料がかかる。ただし2年目以降のサブスクリプションは15%に下がり、長期的な関係構築を促す仕組みになっている。さらに年間収益100万ドル未満の開発者には、Small Business Programにより一律15%の優遇レートを適用。このような小規模開発者の成長を後押しする仕組みが、エコシステム拡大の背景にある。

 興味深いのは、アップルが手数料を徴収するのはデジタルコンテンツの販売だけという点だ。Uberの配車料金やAmazonの商品購入、アプリ内の広告収入などには一切手数料がかからない。

 同社の最新データによると、App Storeエコシステムで促進された取引の90%以上について、開発者はAppleに手数料を支払っていない。 取引の内訳は、デジタル商品・サービスで1,310億ドル(手数料対象)、物理的商品・サービスで1兆ドル超(手数料対象外)、アプリ内広告収入で1,500億ドル(手数料対象外)となる。つまり、エコシステム全体で生み出される価値の大部分は開発者や企業の手元に残る計算になるのだ。 【次ページ】AppStore好調を支える「3本柱」
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