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  • 2023/12/18 掲載

岸田内閣のリスキリング支援はズレまくり…「5年で1兆円」が迎える“最悪な”末路とは

連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質

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リスキリング(学び直し)は、セミナーなどの集団教育では効果が上がらない。独学による個別教育が望ましい。この点で、ChatGPTが大きな力になる。政府のリスキリング政策には、この点の考慮が抜けており的外れだ。5年で1兆円を投じる計画の政策は、最悪な結果に終わる危険性が高い。

執筆:野口 悠紀雄

執筆:野口 悠紀雄

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。
noteアカウント:https://note.com/yukionoguchi
Twitterアカウント:@yukionoguchi10
野口ホームページ:https://www.noguchi.co.jp/

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リスキリング政策はどんな末路に終わりそうなのか?
(出典元:Alexandros Michailidis / Shutterstock.com)

リスキリング政策が“的外れ”と言える問題点

 リスキリングの重要性がさまざまなところで強調されている。とりわけ、AIの驚異的な進歩によって仕事の内容が大きく変わっていくと予想されるので、それに対応した知識や技能を持つことの必要性が指摘されている。

 こうした認識は正しい。ただし問題は、どのようにしてリスキリングを進めるかだ。

 岸田内閣も、リスキリングの重要性をさまざまなところで強調している。そしてそのための補助策をとる、としている。岸田首相は、2022年10月に行われた衆院本会議での所信表明演説の中で、個人のリスキリング支援に5年で1兆円を投じるとした。

 リスキリングに対してはすでにさまざまな補助金や助成金があるが、政府は、雇用保険を財源として補助金を支出することを検討している。資格学習の費用を助成する「教育訓練給付」の拡充を検討している。

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岸田内閣のリスキリング政策が的外れと言える理由とは
(Photo/Shutterstock.com)

 しかし雇用保険は、失業者の生活を支える給付を行うための制度だ。その対象をリスキリングにまで広げるのは、制度の本来の趣旨からは逸脱するものであり、問題がある。さらに、このような方策はピントがずれていると思う。

 なぜなら、この方策は、「リスキリングのためには何らかのセミナーを受講しなければならない」ということを前提にしているからだ。

 しかし、リスキリングは、基本的には独学で進めることができるものだ。あるいは、独学の方が効率的なものだ。勉強のためにセミナーを受講しなければならないというのは、固定観念に過ぎない。

「集団」ではなく「個別」教育が必要なワケ

 セミナーは、参加者全員に同じ内容の講義をするものだ。これは学齢期における学校での授業を継続した方法だ。しかし、成人してからのリスキリングにおいては、この方式は適切なものではない。

 なぜなら、目標とするレベルとこれまで獲得しているレベルの間隙を満たすことがリスキリングの目的だからだ。目標レベルにおいても、これまで獲得したレベルにおいても、成人の場合には極めて大きな個人差がある。

 したがって、リスキリングは個別教育を行わなければ有効なものとはならない。集団教育では個人の事情に合わせた教育ができないから、内容が難しすぎたり、あるいは知っていることばかりで格別の役に立たなかったり、という事態が発生する。 【次ページ】リスキリング政策が「最悪な結果」に終わりそう…

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