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  • 2021/09/01

FRB「テーパリング」は“ズバリ”いつになるのか? 米国株は「急落」するのか?

【連載】井出真吾の「株式市場を読み解く」

米国の金融政策を占うイベントとして注目された2021年8月27日のジャクソンホール会議は、市場に波乱を起こすことなく通過した。同会議の講演で、パウエルFRB議長は、「物価や雇用情勢など広い範囲で経済が予想どおり改善すれば、資産買い入れの縮小(テーパリング)を年内に始めるのが適切」、「テーパリングは将来の利上げ時期を直接的に示唆するものではない」などと発言。これは一部で警戒されていた「テーパリング9月決定、10月開始」という予想を明確に否定したわけではないが、しばらくは金融緩和状態が続くと市場関係者に受け止められ、米国市場は落ち着いた反応となった。はたして、FRBの「テーパリング開始」の時期はいつ頃になるのだろうか。

ニッセイ基礎研究所 上席研究員 チーフ株式ストラテジスト 井出 真吾

ニッセイ基礎研究所 上席研究員 チーフ株式ストラテジスト 井出 真吾

1970年生まれ。東京工業大学卒業。1993年日本生命保険相互会社入社、1999年(株)ニッセイ基礎研究所、2018年より現職。研究・専門分野は、株式市場・株式投資。主な著書に『ROEを超える企業価値創造(日本経済新聞出版社)』などがある。日本証券アナリスト協会検定会員、日本ファイナンス学会会員、1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

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はたして、FRBの「テーパリング開始」の時期はいつ頃になるのだろうか?
(写真:AP/アフロ)

テーパリングの条件(1):「物価」は上昇してきたか?

 今後、FRBは2021年9月、11月、12月に予定されるFOMC(連邦公開市場委員会)でテーパリング開始を決める可能性がより高まった。現在のところ市場では「11月決定、12月開始」が有力視されている。

 FRBは金融政策の正常化に際して、“物価”と“労働市場”の「著しい進展」を重視している。このうち米国の物価については、今回のジャクソンホールの講演でパウエル議長が「著しい進展は満たした」と指摘したとおり、強い状態を維持している。

 人手不足や半導体不足などの供給制約により一部の製商品・サービス価格が高騰しているとはいえ、FRBが最も重視する個人消費ベースのコア物価指数(PCEコア・デフレーター)は前年同月比3%を超える上昇が続いている(図表1)。

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図表1:米国の物価はテーパリング開始の「条件を満たした」
(資料:Refinitivより作成)

 物価高騰が消費意欲を削ぎ景気回復に水を差しかねないのはFRB自身も懸念するところだろう。水面下では、米消費者の不満が高まらないうちに物価の高騰を抑えるよう政府からの要請もあるという。


テーパリングの条件(2):「労働市場」は安定してきたか?

 一方、米労働市場の回復は道半ばだ。8月6日に発表された最新の失業率は5.4%で、 “完全雇用状態”とされたコロナショック前の3.5%とはかけ離れている(図表2)。

 非農業部門では2020年3月と4月に合わせて2236万人が職を失った。今年7月までに1666万人が復帰したものの、単純な差し引きでは570万人が職に戻っていない(図表2)。

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図表2:米労働市場の回復は“道半ば”
(資料:Refinitivより作成)

 一部の州で失業保険の上乗せ給付を続けているほか、育児や根強い新型コロナ感染の懸念などから意図的に仕事に復帰しないケースも少なくないという見方もある。だが、失業者のうち「自発的な離職者」の占める割合は、コロナショック前よりむしろ低い(2020年1月=14.3%、2021年7月=10.8%)。

 実際、失業保険の継続受給者数は減少ペースが鈍ってきたようだ。

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図表3:米労働市場の回復は“道半ば”
(資料:Refinitivより作成)

 直近(8月8日~14日分)は286万人で前週から横ばいだった。コロナショック前の2020年1月末時点は170万人だったので、当時と比べて116万人も多くの人が失業保険を受け取っている(図表3)。

 ここまで見てきた点と、今後のFOMC前後の日程などを踏まえ、ここからは実際にテーパリングの時期がいつ頃になるのか予想したい。

【次ページ】10月か?11月か?テーパリング開始の時期はいつ頃になるか

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