• 2026/01/28 掲載

人手不足なのに…奈良の運送会社に「応募殺到」のワケ、秘密は「自由すぎる」YouTuber(3/3)

連載:「日本の物流現場から」

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社員インフルエンサーがもたらした「スゴイ効果」

 フジトランスポートのインフルエンサー・マーケティングは、高度な寛容さと従業員個人への尊重がベースにある。

 インフルエンサーである従業員に対し、応援をすることもあるが、それはあくまで「機会があれば」である。良くも悪くも、同社のインフルエンサー・マーケティングは結果論であって、戦略性はない。

 だが、結果として同社のインフルエンサーたちは企業イメージの向上とPRに貢献している。

 その証拠に、これだけドライバー不足が騒がれる今、同社では十分なドライバー採用を実現できている。もちろん、すべてがインフルエンサーのお陰ではないが、その影響は小さくないそうだ。

 同社では公認YouTuberに対し、事前に投稿内容のチェックは行うが、それはあくまで念のためである。原則として、投稿内容はインフルエンサー各人が自由に決めているのだ。

 これは、会社側とインフルエンサーの間に絶対的な信頼関係があるからこそ成立するのだが、こういった放任主義とも取れる方法にはリスクもある。

企業イメージを汚す投稿があったら…

 「フジトランスポートって…どんな会社なんですか?」。数年前、筆者はある物流システム会社から相談を受けた。聞けば、フジトランスポートのYouTuberの1人が、同社システムを猛烈に批判する動画をアップしたというのだ。

 企業に所属するインフルエンサーは、会社の思想を代弁する立場にはない。その企業の社風、文化などの体温を伝える役目は果たすが、それは付帯的なもの。投稿内容は、あくまでインフルエンサー個人の主観である。

 「フジトランスポートは関係ないですよね。あくまでYouTuber個人の意見ですよ」と筆者は答えたが、頭では理解しても、心情的には納得できない人・企業は少なくないだろう。

 「もし社員インフルエンサーが、企業イメージを汚すような投稿をしたらどうしよう」。会社側として、こういった心配を抱いてしまうのは当然だ。

 だが、会社側がリスク回避のために社員インフルエンサーの投稿内容を検閲しようものならば、たちまち温度感が下がる。忖度のない生の感情を乗せた投稿だからこそ、社員インフルエンサーの投稿は、人々の心に響くのだ。

 企業のインフルエンサー戦略が高度化するにつれて、「結局、社員を芸能人化しようとしているだけじゃないの?」という声も聞こえてくるようになった。

 フジトランスポートにおける社員インフルエンサーとの距離感は、こういった声に一石を投じるものと言えるだろう。

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