第一三共が2025年ビジョンの主軸「がん事業」の新薬開発基盤にオンプレミスを選択した理由を語る
第一三共が事業構造の転換に取り組む理由
国内の数ある製薬会社の中にあって、医療用医薬品で独自の存在感を放つのが、三共と第一製薬の経営統合により2005年に発足した第一三共である。2016年度に続き2017年度も医療用医薬品の売り上げではトップ。国内に留まらずグローバルで患者や医師、薬剤師からの多様な医療ニーズに応える革新的な医薬品の研究・開発の取り組みが成果を出している。
そんな同社は現在、事業構造の転換の最中にある。具体的には、「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を目指す「2025年ビジョン」の下、高血圧症などの生活習慣病や感染症などを中心とする既存事業からの転換を急ピッチで進めているのだ。
このほど都内で開催された「IBM Fast Data Forum 2018」に登壇した、第一三共の総務本部 IT企画部 企画グループで主査を務める中野暢也氏は、「新薬開発の期間とコストは増す一方でが、ITを活用してより効率的かつ効果的な医薬品開発をサポートし、ビジョンを何としても実現せねばなりません。最終的に目指すのは、SOC(標準治療)を変革する先進的な新薬の創出です」と説明する。
IT戦略では「クラウドファースト」だが……
ADC(抗体薬物複合体)技術など同社の独自技術を用いた新薬候補が出始めているが、その道筋は決して平坦ではない。第一三共の現時点でのがん事業関連売上は、全体のわずか数%ほどにすぎない。このことを理解すれば、がん事業への転換は第一三共の将来を賭けた一大プロジェクトであると推察できる。
一方、2014年に導入したゲノム解析環境には、研究部門から不満の声が上がっていた。どうやって不満を解消し、ビジョン実現への足がかりを作ったのだろうか。
・コストとセキュリティが選定の決め手に
・開発速度が10倍に達し、解析の自由度も向上
・外部機関との“橋渡し役”となるために
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