- 2026/01/19 掲載
元アパレル販売員が「1日240時間」省人化、センコーで「物流DX人材」に激変できたワケ(2/3)
連載:「日本の物流現場から」
物流とITの素人に衝撃を与えた「上司との出会い」
「お褒めいただき恐縮ですが、前職はアパレル販売店の店員であり、物流に関しては素人でした」と石川氏は謙遜する。アパレル業界で働くことは好きだったが、諸事情で転職せざるを得なかった石川氏。転職に際してはまず物流の業界研究から始めたという。
「ブルーワーカーというイメージが強い物流業界ですが、調べてみると意外とクリエイティブであり、成長産業ではないかと考えました」(石川氏)
26歳の時にセンコーに転職した石川氏は、営業部に配属された。最初のうちは物流を学ぶだけで精一杯であり、仕事を楽しむような余裕はなかったと話す。だが、慣れてくるうちにその楽しさにも気づき、「まさに天職ではないか」と思い始めた。
石川氏が荷主への提案型営業にのめり込んでいったきっかけは、当時の上司の存在が大きかったという。「上司との出会いで私は衝撃を受けました。現場たたき上げでしたが、今で言うところのバリバリのDX人材だったのです」と石川氏は振り返る。
この上司は約20年前から、当時はまだあまり普及していなかったTMS(Transport Management System:輸配送管理システム)や、今で言うところのバース予約管理システムなどを構築した実績を持っていたという。
「現場で不便を見つけたり、効率化できるネタを収集しては、ソリューションで改善するということを、私も上司から学び、実践するようになっていきました」(石川氏)
成長を後押しした「センコーの社風」
センコー・グループのスタンスも、石川氏の成長を後押しした。センコーにはセンコー情報システムというシステム子会社がある。あくまで一般論だが、さまざまな事業機能を備えた総合企業グループでは、グループ企業への利益誘導を積極的に進めるケースも少なくない。しかしセンコーには、たとえば「センコー情報システムが作ったソリューションをなんとしても販売せよ」ということはせず、あくまで顧客目線で、最も適切なソリューションを提案できる自由があるという。
結果、石川氏は数多くある物流ソリューションから、真に顧客のためになるソリューションを見出す選択眼と、それを顧客提案に結びつける事業企画能力を身に付けていった。
「上司から、何かを教えてもらった記憶ってあまりないんですよ。いきなり課題を出されて『考えてごらん』と言われたりとか」(石川氏)
現場に足を運びまくった「入社2年目」
入社2年目のこと。パレットからデパレタイザー(物流ロボットの1種)を用いて、カートラック(量販店などで使われる6輪台車)に荷物を積み付けるという案件を担当することになった。「3Dで積み付けを考えなくてはならなかったので、当時の技術ではかなり難易度が高い案件でした。しかも、デパレタイザーの能力を最大限発揮させるためには、パレットの供給量やカートラックの排出量も考慮する必要がありました」(石川氏)
石川氏は、何度も現場に足を運び、作業を観察、作業員からヒアリングを行ったという。
「まだ入社2年目で、右も左も分からない状況だったにもかかわらず、どのようにしたら効率化の最適解を得られるか、といったことについて考える機会をいただけたのが良い勉強になりました」(石川氏)
物流の素人だった新人は、このように何度も現場に足を運び、やがて物流DX仕掛け人へと成長していったのだ。 【次ページ】DX人材育成を阻害する「人事評価の落とし穴」
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