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- 2026/10/17 16:00 掲載
数学フィールズ賞テレンス・タオ氏、AI時代の数学研究の在り方「Math 2.0」提唱
人間の数学的理解を深めるためのAI活用を訴える
フィールズ賞のテレンス・タオ氏がAI時代の数学研究の在り方「Math2.0」を提言
数学界の最高栄誉であるフィールズ賞の受賞者、テレンス・タオ氏が、人工知能(AI)の急速な進化を踏まえ、数学研究の新たな在り方「Math 2.0」を提唱している。従来の数学研究は、未解決問題を解き、新たな証明を発見することが高く評価される「Math 1.0」の時代だった。しかし、AIが大量の証明を生成できるようになったことで、数学界は「証明の希少性」から「証明の豊富さ」へと移行しつつある。その象徴的な動きが、米OpenAIによる数学研究成果の発表だ。同社は2026年9月、ミレニアム懸賞問題の一つであるナビエ・ストークス方程式に関する証明を発表。さらに10月上旬には、AIが生成した純粋数学や理論計算機科学に関する700本以上の未査読原稿を公開した。
こうした成果はAIの高度な論理的推論能力を示す一方、十分な検証や学術界との協議を経ない大量の原稿公開には、数学者から強い懸念が示された。タオ氏をはじめとする25人のフィールズ賞受賞者は共同声明を発表し、AI開発企業と数学界の研究目的に重大な隔たりが生じていると警告した。また、人間の数学者による団体「Association for Human Mathematics」も、こうした大量公開を学術的な営みではなく、AIの能力を誇示する行為だと批判している。
論争の核心は、数学研究の価値が「問題を解くこと」だけにあるのか、それとも「解く過程で理解を深めること」にあるのかという点だ。タオ氏によれば、数学の未解決問題は単に正解を求めるパズルではなく、未知の数学世界を探索するための道しるべでもある。
解決に向けた試行錯誤の中で、新しい理論や概念、研究手法が生まれることも多い。AIが短時間で結論だけを大量に生成すれば、こうした発見の機会が失われる恐れがある。さらに、膨大なAI生成論文の正確性を検証する負担が、人間の研究者に集中する問題も指摘されている。
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