コラム：ビジネスプラン策定の要点

　事業を開始するには、ビジネスプランをただ作成するだけでなく、それを投資家（や経営者）が納得するようにプレゼンテーション・説得できなければならない（論理に矛盾はないか、見落としているリスク・課題はないかを知るためにも、たくさんの人に見てもらおう）。

現代のビジネスにおいて、計画を表現する形式、内容としては、具体的には以下のような内容となる。技術、組織論、財務会計など幅広い理解が必要だ。

項目	内容
企業のイントロダクション	企業名・所在地・責任者、事業の性格、必要資金
エクゼクティブサマリー	プラン全体のサマリー
業界分析	過去の動向・今後の見通し、競合他社の分析、市場（顧客）のセグメント
新規事業の説明	製品・サービス、事業規模、必要な人員・建物・装置
生産計画	生産プロセス、必要な設備・装置、原材料の供給元、方法
マーケティング計画	プライシング（価格設定）、製品流通、広告、人気商品の動向、必要資金の財源
組織計画	事業の所有形態、パートナー・主なシェアホルダー、組織体制・責任体制、マネジメントチームのバックグラウンド
リスクアセスメント	新規事業の弱点、新技術の動向、自然災害等リスクへの対応
財務計画	Pro forma Ｐ/Ｌ、Pro forma Ｂ/Ｓ、キャッシュフロー予測、損益分岐点分析、必要資金の財源
実行計画	いつ・誰が・何を・どれくらいの費用をかけて行い、何を達成するのか、をスケジュールおよび業務フローにおとした計画

　また一般的に、ビジネスプランを作成するときは、「誰に、何の目的で読ませるのか」を意識し、相手によってアピールの方向をアレンジすることが大切といわれるが、まずはさっと目を通しただけでも理解できるような内容を心がけよう。

　何度も説明しないと伝えられないのは、論理展開が複雑であったり、見通しの立っていない事項が多いからだ。きちんと細部まで考え道筋がつけられているのなら、あとはそれを表現する技術の問題になる。計画書の作成は、以下の4点に配慮する。

1：一覧性 一目で全体像がつかめるように、サマリや総括表をつける
2：平易性 平易な文章で書く。業界用語や専門用語などには説明をつける
3：可視性 図、表、写真など、見やすいビジュアルに加工する
4：具体性 具体的資料（特許申請書、販売実績権の契約書など）を添付する

　この中でも、平易性は重要だ。シリコンバレーには「エレベーター・ピッチ（elevator pitch」」という言葉がある。ピッチは「説明する」との意味で、「エレベーターの中でビジネスプランを説明できないといけない」ということだ。つまり、15～30秒でビジネスプランを的確に伝えなければならないということである。

　私も政治家として、テレビで活動するようになった時に、プロデューサーに「15秒で意見をいえるように」と言われたことがある。15秒は人が注意を集中できる限界らしく、テレビのコマも15秒くらいで切り替わるのだ。短く明瞭にしゃべる「エレベータービッチ」、これはビジネスプランだけでなく、自分自身のアピールを短時間に行うという意味でも重要なコンセプトである。