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- 2024/03/01 掲載
苦戦の中部空港と大盛況の福岡空港、インバウンドでどう変わった?コロナ後の空港動向
連載:「コロナ後のインバウンドの行方」
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過去“最高”更新基調のインバウンド
訪日外国人(インバウンド)が順調に回復している。2023年の訪日客数は2507万人と、通年で2500万人を突破した。過去最高だった2019年の3188万人には及ばないが、2022年が383万人にすぎなかったことに比べると隔世の感がある。2024年1月の訪日客数を見ると、インバウンドの回復はより鮮明である。同月のインバウンドは269万人と、主要23市場のうち韓国、台湾など10市場が1月として過去最高を更新した。
コロナ前に客数・旅行消費額の両面で主役だった中国客の戻りが悪いにもかかわらず、インバウンドは驚くべき回復を見せている。背景にあるのは文化・自然資源に恵まれた旅行先としての日本の魅力に加え、諸外国に比べあまり物価が上昇していないこと・円安によるお得感がある。2022年10月にコロナ水際対策が本格的に緩和されて以降、国際線運航便数が着実に増加していることも大きい。
着々と回復する国際線運航便数
国際線運航便数(旅客定期便)は、コロナ禍でいったん大きく落ち込んだが、2022年冬季スケジュール以降、力強く回復している(図表1)。卵が先か鶏が先かよく分からないが、飛行機が飛べばインバウンドが増え、インバウンド需要があればそれにこたえようと復便・増便の動きが出る。2023年冬季当初の運航便数は4311.5便/週と、コロナ前の約8割の水準まで戻した。ただ、回復の度合いには濃淡があり、中国を除くアジア路線と米国路線は順調だが、中国路線と欧州路線は回復が鈍い。
最も便数が多く、コロナ前に比べても復調著しいのが韓国である(図表2)。比較対象の2019年に日韓関係が悪化して減少していた反動増もあるが、格安航空会社(LCC)が多数就航していることも大きい。
空港別に見ると、韓国路線が多いのは関西(338便/週)、成田(246便/週)、福岡(225便/週)である。大韓航空やアシアナ航空のようなフル・サービス・キャリア(FSC。高価格だがサービス・座席の水準が高い航空会社)はどの空港でも便数の3割弱を占めるにすぎず、関西に至っては8割弱が済州航空、ジンエアーなどのLCCである。
韓国路線は成田-ソウル(仁川)でも約2時間40分しかかからない。筆者もLCCでソウルに行ったことがあるが、安い割にはサービスも悪くないしお尻も腰も痛くならなかった。韓国客にとって訪日旅行は国内旅行の延長感覚である。LCCに乗って気軽に訪日し、グルメ、温泉、ゴルフ、山歩きなどを満喫している。便数の多さ・安さが、韓国客が中国客を抜いてインバウンドの主役に躍り出た一要因になっている。
一方、遠距離にもかかわらず便数を伸ばしているのが米国である。米国に比べれば物価水準が低く、商品もサービスも高品質な日本がお気に召したのだろうか。中間層が拡大している台湾、香港、東南アジアもおおむね順調に回復している。
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