- 2026/04/02 掲載
焦点:成熟期の豪債券市場、記録的発行ラッシュが中東情勢で試練に
[シドニー 31日 ロイター] - オーストラリアの債券市場は高水準の利回りと安全な投資先としての魅力に支えられ、今四半期の債券発行額が新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)後の最高水準を記録する勢いだ。しかし、中東で起きた戦争のために待機案件が細りつつあり、この活況は今や重大な試練に直面している。
G10諸国の中で最高水準の国債利回りが投資家を引きつける一方で、米国以外に深みのある安定した市場として資金調達を目指す世界中の債券発行者を相次いで呼び込んでいるのがオーストラリアだ。
インフォーマ・グローバル・マーケッツによると、920億豪ドル(630億米ドル)以上の投資適格債が2026年に入ってこれまでに豪ドル建てで売り出され、昨年の年間発行額の約2600億豪ドルを上回るペースで推移している。
四半期ベースの数字としては20年以来の規模で、オーストラリアは昨年の発行額が2150億米ドルだった英ポンド市場を追い抜き、世界第3位の市場への浮上が射程圏内にあるという。
投資家も銀行家もともに、そうした状況はオーストラリア市場がいかに成熟しているか、国際的な資本の流れが変化しているかを示しており、まさに長く待ち望まれた成熟期にあると話している。
メルボルンにあるジャナス・ヘンダーソンのストラテジストのエマ・ローソン氏は「投資家は統治が行き届いていて、財政状況が良好で制御不能に陥らず、深みのある先進国経済はどこか、と考えるようになっている」とし「多くの投資家がオーストラリアを魅力的な投資先と見なし始め、それがさらなる投資を呼ぶ好循環を生んでいる」と述べた。
<一時的な減速か期待外れか?>
今月発表されたクレジットサイツの分析によると、豪ドル建て債券は2月末に中東で戦争が始まってから世界中の投資適格債の他の銘柄を上回る運用成績を上げている。
しかし頭痛の種は、世界的な価格変動の激しさだ。
シドニーにあるみずほ証券アジアのオセアニア地域債券資本市場責任者のサイモン・ワード氏は「価格変動が激しい状況で価格設定を試みても誰も利益を得ないし、リスクフリー・レートが今後どうなるかも実際に分からない」と述べた。
その好例がカンタス航空で、市場の価格変動が激しい間は債券発行による資金調達計画を一時停止した。ディールロジックの調査によると、韓国ガス公社もまた様子見に入っている。
<地政学的な避難場所>
投資家の視点に立つと、構造的な変化が需要を刺激している。
その一つが潤沢な資金を持つオーストラリアの年金基金で、加入者が高齢化し退職金の支払い段階に入るにつれて債券に対する配分を徐々に拡大している。
公的統計によると、オーストラリアの年金基金の債券配分は13年の約17%(1880億米ドル)から25年12月に18%強(5470億米ドル)に増加した。
債券ブローカー兼投資会社FIIGセキュリティーズの債券・投資戦略ディレクターのジョナサン・シェリダン氏は「市場全体の配分を例えば1%変えれば、数百億米ドルの資金が動くことになる」と語った。「現在の地政学的環境があってオーストラリアが極めて安定していると見なされているとも思う」
海外投資家もまたオーストラリア国債の魅力を再発見している。オーストラリア統計局のデータによると、オーストラリア国債の海外保有率は中央銀行の買い入れによってパンデミック以降低下したが、現在はオーストラリア国債市場全体の50%をわずかに上回るまで回復している。
コモンウェルス・バンク・オブ・オーストラリアのグローバル・マーケッツ担当執行ゼネラルマネジャーのクリス・マクラクラン氏は「米国やカナダの投資家が大勢参入している。オーストラリアが恐らく世界的に不安定な出来事に関わるニュースの見出しになるのは比較的少なく、人々はビジネスをするのに適した場所だと見ているのだと思う」と述べた。
豪ドル債も世界中の債券市場と同様に、既に粘着質なインフレが原油高騰で一段と上昇し中銀の利上げを招くのではないかという懸念から生じる圧力を受けている。
しかし、10年物国債の利回りは5%を超えており、アナリストはここ数年の歴史的な水準と比較して、投資家が投資収益を得る上で非常に高い利回りを提供していると見ている。
みずほ証券のワード氏は「市場は再調整した後で継続すると期待している。金融商品の開発者のほとんどが口にする言葉は『オーストラリアは成熟した』だ」と解説した。
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