- 2021/02/07 掲載
復興には長い時間必要=日銀の植田リサ福島支店長
―東日本大震災と原発事故による福島県経済への影響は。
住宅やライフライン、道路や農地など直接的な被害では、全体で16.9兆円という試算がある。ただ、事故後の東京電力福島第1原発周辺地域への被害やさまざまな意味での風評被害が含まれておらず、本当に大きな経済的被害が出た。
―この10年でどこまで回復したか。
県内総生産の伸びは復興需要によるものが大きい。しかし、農業産出額は震災前の9割にとどまり、漁業の漁獲高や主要観光施設の客数も震災前に届いていない。まだまだ復興には程遠い地域がたくさんあり、原発の廃炉も含め長い時間が必要だろう。
―原発事故による風評の現状は。
農産物の単価が全国とどれくらいの差があるかが指標の一つとなる。少しずつ縮まってきてはいるが、震災前の価格差までは戻っていない。消費者が積極的に評価するような安全性を追求していけば、それが福島のブランドになっていくと考えている。
―民間需要の回復を進めるために何が必要か。
民間企業が福島で投資したいと思うような仕掛けをつくっていくことが必要だろう。例えば行政の支援や補助、進出してきたときの横の連携など、ビジネスが他の地域よりもやりやすい仕組みを整備することが重要ではないか。
【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答える日銀の植田リサ福島支店長=1月27日、福島市
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