- 2022/08/24 掲載
アングル:米株、ジャクソンホール無風通過へ オプション市場予想
オプション分析会社ORATSのマット・アンバーソン代表によると、パウエルFRB議長の講演が予定される26日に織り込まれているS&P総合500種の値動きは1.4%で、オプション市場が示唆する向こう1カ月の株式市場の1日当たりの値動きである1.0%をわずかに上回る程度だ。
調査会社オプションメトリクスのギャレット・デシモーン氏は「(オプション)市場は、ジャクソンホール会議を非重要イベントとして扱っているようだ」と指摘。
会議を控え、市場変動リスクを巡る観測は高まる可能性が依然としてあるものの、今のところオプション市場は「暴落リスクが比較的低い」ことを反映していると述べた。
市場関係者はそれほど波乱が予想されていないことについて、さまざまな理由を挙げている。ここ数週間、FRB当局者らが講演で、インフレがピークを打ち政策がハト派に転換するという見方をけん制する発言を行ってきたことから市場へのメッセージがより明確になっている。
また、市場は9月の50─75ベーシスポイント(bp)追加利上げを予想しているが、パウエル議長の今後の政策見通しは同月に発表される主要経済指標を反映したものになる見込みだ。
シュワブ金融研究センターのトレーディング・デリバティブ担当副社長、ランディ・フレデリック氏は「現在は引き締め局面であり、その過程は徐々に減速していくという認識で誰もが一致していると言えるだろう」と指摘。
「市場がボラティリティー拡大を織り込むのは通常、サプライズに身構えているときだ。この会議では誰も大きなサプライズを予想していない」と語った。
近年、ジャクソンホール会議でのFRB議長講演は市場を大きく動かす材料にはほとんどなっていない。講演当日にS&P500の変動幅が1%を超えたのは過去10年間で一度だけだ。
今年の株式市場は例年よりはるかに不安定な値動きとなっているが、ここ数カ月で落ち着きを取り戻しつつあり、S&P500は6月半ばに付けた安値から15%上昇している。
投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)も、今年初めに付けた40に近い高水準から低下し20前後で推移している。
しかし、一部の市場関係者は、パウエル議長が予想以上にタカ派的な見解を示した場合、株価に打撃を与える可能性があるとみている。
アメリベット証券の米金利トレーディング・戦略責任者、グレゴリー・ファラネロ氏は、インフレ抑制に必要なだけ利上げを継続するFRBの決意を示す7月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨や最近の当局者発言に言及し、「(パウエル氏のための)お膳立てとみられる。講演はややタカ派寄りになるだろう。そうなれば株は売られる可能性がある」と述べた。
(Saqib Iqbal Ahmed記者)
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