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昨今、システム運用は複雑化の一途をたどっている。これにより品質や対応スピードの低下、システム障害の増加といった問題が起こっている。デジタル人材育成学会会長の角田仁氏は、それらに対応するには省力化・外注化・先進化を進めながらの適切なグランドデザインと、運用の専門人材であるSRE人材の社内育成がポイントだと説く。角田氏はシステム運用を取り巻く現状や課題の解決法、また経営者と運用部門リーダー層へ求めることについて語った。
運用の複雑化でシステム障害の件数が増加している
これにより運用品質や対応スピードが低下し、その結果、システム障害の件数増加・影響増大といった厳しい状況となっている。デジタル人材育成学会会長の角田仁氏は、この中でも「クラウド・アウトソースの委託件数の増加」と「運用部門の人材不足」が本質的な問題だと指摘した。
「クラウドの委託件数は、2010年代から急増しています。クラウドを増やすこと自体は間違っていませんが、急増に現場がついていけていない状況もあります。さらに問題なのは、経営者がクラウド化でコスト削減や人員削減ができると誤解していることです。削減はできますが、少しタイムラグがあることを認識した上で計画を立てる必要があります。コストや人員を急激に減らしたことでシステム障害が起こる事例が最近増えています」(角田氏)
それに加え、チェック項目数も増加している。パブリッククラウドでのインシデント発生に対してはユーザー企業が責任を持つ領域もあり、それらをきちんと確認する必要がある。角田氏の経験では、クラウド導入の新規委託時のチェックは1社あたり237項目に上り、運用時にも月例報告で182項目のチェックが必要だった。特にセキュリティ関連項目が増えている。
クラウド管理のワークロードは、委託件数とチェック項目数の両面で増大している。これには技術的対策と組織的対策を共に講じる必要がある。
角田氏は「技術的対策はコストをかけて最新の技術を用いればできるのですが、組織的対策はユーザー企業の組織力の問題なので、こちらの方が大変です。ITIL(Information Technology Infrastructure Library.ITサービス運用・管理のベストプラクティス集のこと)では限界があり、新フレームワークが必要です」と指摘。「複雑すぎるシステム運用」を解くための仕組みと人材育成について解説を進めた。
・「複雑すぎるシステム運用」問題を解くための“虎の巻”とは?
・運用設計をリードできる人材を育成する方法とは?
・経営者と運用部門リーダー層が検討すべき「3つのポイント」
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