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  • 2020/08/26 掲載
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テクノロジーの進化によって、多くの業界で「デジタルシフト」が進んでいる。特に新型コロナウイルスの世界的な大流行により、新たな働き方、ビジネスのあり方を模索する動きが始まっている。中でも、顧客対応の最前線を担うCS(カスタマーサービス)部門やコンタクトセンターでは、さまざまなデジタルシフトに取り組んでいる。企業はこれからのCX(顧客体験)をいかに最適化していけばよいのだろうか。元セブン&アイHLDGS.取締役執行役員CIOとしてオムニチャネル戦略の指揮を執り、現在はデジタルシフトウェーブ 代表取締役であり、オムニチャネル協会 会長を務める鈴木 康弘氏に話を聞いた。

コロナによってデジタルシフトは「待ったなし」の状態に

 デジタルテクノロジーの進展を背景に、さまざまな業界でデジタルシフトが進んでいる。この動きについて、鈴木氏は「2030年くらいまで緩やかに進んでいくとみていたが、新型コロナウイルスの影響もあり、この2、3年で一気に加速していくのではないか」と話す。

「これまでデジタルシフトに取り組んできた企業は、コロナウイルスの世界的感染にもかかわらず、リモートワークに戸惑うことはなかった」と鈴木氏は指摘する。オフィスへの出社を前提としない働き方にスムーズに移行できた企業と、そうでない企業の差が顕著に現れているという。

 では、CS部門やコンタクトセンターといった顧客対応部門のデジタルシフトについてはどうだろうか。鈴木氏は「コンタクトセンターにおけるデジタル化は、お客さまと企業をつなぐチャネルの多様化に本質がある」と述べる。顧客視点に立ち、よりよい顧客体験を提供することが企業業績にもつながることや、企業にとって特に「コンタクトセンターは顧客体験の最前線である」といった認識が進んでいる。

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日本オムニチャネル協会会長
デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長
鈴木 康弘氏
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、情報経営イノベーション専門職大学客員教授も兼任。

 一方、実際に進んだのは“働き方改革として”のコンタクトセンターのデジタル化であるという。ノウハウを持った従業員が結婚や育児、介護などのライフイベントに直面したときに“すき間時間”を有効活用してもらうためのものだ。

 そこに新型コロナウイルスの感染拡大によって「さらに働き方を変えるという大きなインパクトがあった」(鈴木氏)。一部の先進企業ではコールセンターの「全面在宅化」を実施した事例も生まれたほどだ。一般的には社内にはセキュアな管理が求められる顧客情報があるため、「定型的な問い合わせについてはリモートでの対応やチャットボットなどのチャネルを活用するという環境整備が進んでいくだろう」と同氏は述べる。

 では、働き方だけではない、顧客本位のデジタルシフトの課題はどこにあるだろうか。そもそも多くの企業でオペレーターの人材不足が課題となっている。人件費は高騰し、採用は難しく、さらに離職率の高さに悩む企業もある。

 その背景には「オペレーターに高い専門性が求められる点がある」と鈴木氏は指摘する。ビジネスによっては問い合わせの領域が広く、かつ専門性が求められるものがあるため、新人オペレーターにとっては相当のプレッシャーがあるケースも出ている。しかし、こうした課題を解決するためのコンタクトセンター変革には「3つの課題」があると鈴木氏は述べる。

この記事の続き >>
・コールセンターのデジタルシフトを阻む「3つの課題」
・経営者の意識を変え、組織を変えてITを導入していく
・コンタクトセンターは「コントロールタワー」の役割へ

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