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  • 2021/06/25 掲載

お手本はテスラ? これから始まる「DX競争・2回戦」、なぜ日本企業に勝機があるのか

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2021年9月1日、日本にデジタル庁が新設される。これまで「デジタル後進国」とも言われてきた日本にとって、新設されるデジタル庁には行政や企業のDXの旗振り役として大きな期待が集まる。IT批評家、尾原投資顧問 書生の尾原和啓氏は、これから始まる新たなDXにおいて「日本は世界に勝てる可能性がある」と力強く語る。その理由を聞いた。

photo
IT批評家
尾原投資顧問 書生
尾原和啓氏
(撮影:干川修)
 


日本企業に勝機がある? 待ち受けるDX “第2回戦”とは

 DXを語る時、日本ではGAFAやGAFAMと称されるビッグテックの台頭が日本経済の脅威となり、やがて彼らに飲み込まれてしまうといった、ネガティブなストーリーばかりが取り上げられる傾向がある。日本企業がDXにより世界のトップ企業を打ち負かすというポジティブな未来はないのだろうか。

 「これからはDXの“2回戦”が始まる」と語る、早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄氏によれば、これまでのDXはデジタル空間の中だけを対象としていたが、これからのDXはリアル空間まで対象が広がるという。

 入山氏の語る未来を前提にするのであれば、不動産・製造業・教育・医療・金融など、日本にはリアル空間をベースにビジネスを展開してきたDX未開拓の業種がまだ残されている。

 IT批評家、尾原投資顧問 書生で元グーグルの尾原和啓氏は、「DX1回戦では、日本企業が米国企業に大きな差を付けられる結果となりましたが、DX2回戦では日本企業に勝機があります。それは、日本企業のリアル空間における顧客接点が整備されているためです。リアル空間の顧客接点から得られる“データ”こそが、リアル空間を巻き込んだ次のDXにおいて重要な鍵になるのです」と強調する。

DXの手順と作法

 そもそも、DXの意義はどこにあるのだろうか。尾原氏は、「DXの本来的な意義は単なる“デジタルシフト”ではなくトランスフォーメーション、すなわち『非連続の変化』にあると考えます」と語る。

 尾原氏の言うDXを実現する上で、具体的にDXをどのように考え、何から始めれば良いのだろうか。Strategy Partners 代表取締役の西口一希氏によると、DXの対象には「業務・事業・価値」という3つの目的があるという。

 これは、業務を自動化・省人化し「ムリ・ムラ・ムダ」を排除することに加え、既存事業のクラウドシフトにより事業そのものの変革を進め、最終的に顧客に提供する価値を向上させるというものだ。

 尾原氏は、この「価値のDX」を最終目標とすべきだとしつつ、価値DX実現には「顧客志向・社会志向でなければならない」と強調する。DXの提唱者であるエリック・ストルターマン氏も、DXの本質的な目的を顧客志向・社会志向で考えていたようだ。つまり、これまで日本企業が注力してきたテクノロジーによる業務変革などは、あくまで価値DXのプロセスと言える。

 また、新設されるデジタル庁の基本方針にも、「デジタル化は目的ではなく手段に過ぎない」「国民一人ひとりの幸福に資する『誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化』を進める」と明記されており、顧客志向や社会志向が重視されていることが分かる。

 尾原氏は、「デジタル庁の基本方針から、ユーザーの体験価値の創出を図る、徹底した“国民目線”が伺えます。企業にとっては、顧客志向・社会志向と言い換えることができるでしょう」と語る。

海外の成功事例:DBS銀行、Grab社

 シンガポールのデジタルバンクのDBS銀行は、金融業界におけるDXの成功者としてスイス・ローザンヌのビジネススクールIMD MBAにも取り上げられる。

 尾原氏はDBS銀行の成功要因として(1)前提条件として土台作りを行い、芯からデジタル化したこと、(2)お客さまを幸せにする流れをつくり、そこに自分たちが組み込こんでいったこと、(3)異質なものへ変化するため、一発必中の事業作りから多産多死の事業作りへ変革したことなどを挙げ、これらを「DXの3ステップ」と唱えた。

 さらには、CASE、そしてMaaSで盛り上がるモビリティー業界のDXにおける成功事例からも学べるポイントは多い。

 たとえば、その代表的な事例が東南アジア配車サービス大手Grab社だ。MaaSプラットフォームを実現したGrab社が評価されている点は、ユーザーのみならず、ドライバー側も安定的な収入を得るプラットフォームを作り上げたことだ。

 ユーザーが設定した収入のゴールに満たない場合は、マイクロローンを受けられるほか、広告収益を得るオプションも選べる。また、安全運転をする優良ドライバーには収益を得やすい大型車への買い換えを提案し、環境に優しいEV(電気自動車)への乗り換えもできる仕組みとなっている。

 尾原氏は、「MaaS社会が広がれば、現在の自動車メーカーが下請けになる可能性すらあります。経済成長が著しい中国ですら自動車の生産台数は減少しており、それほどDXは待ったなしの状態と言えそうです。この強制的な産業構造の変革をいかに理解し、お客さまに選ばれる存在になれるかが、DXの成功の鍵になります」と話す。

海外の成功事例:中国平安保険

 金融領域における成功事例にも注目すべきだろう。社員数わずか10数名の保険会社として創業した中国平安保険は、近年「平安好医生」というアプリをリリースし、フィンテックの領域で飛躍的な成長を遂げている。

「『平安好医生』アプリには万歩計機能が実装され、歩くだけでポイントが貯まります。ポイントに応じてアプリ内のさまざまな医療増進コンテンツを利用でき、アプリ上では医療機関のオンライン問診サービス、医療機関のクチコミ評価も閲覧できます。医者にかかれば待ち時間なしで診療を受けられ、キャッシュレス支払にも対応しているのです」(尾原氏)

同社サービスは、『トラブルがあったときに保険料を支払う』というこれまでの方向性とは逆の仕組みとなっているが、ユーザーが健康な状態を維持し、医者にかかるべきときに素早く治療を受けられれば、医療費が削減でき、結果としてユーザーに安価な保険を提供できる。また、クラウドサービスのため、ユーザーが増えれば増えるほどアプリ体験のコストも抑えられる。

 さらに同社は塩野義製薬と合弁会社をつくり、ユーザーのビッグデータを用いた医薬品開発、医薬品の販売・流通プラットフォームの構築にも乗り出しました。尾原氏は、「顧客の利用体験を全体でカバーすることで、企業側がユーザーデータを蓄積し、それらのデータを基に開発促進を図り、さらなるUXにつなげていけるのです」と話す。

日本企業が手本とすべきはテスラ

 海外ユースケースに共通するのは、「顧客志向・社会志向に摩擦がないカスタマージャーニー(顧客の未来像)の提供」である。しかしDXの1回戦に乗り遅れた日本企業にとって「未来を顧客起点から“逆算”すること」は容易でない。尾原氏は、「ヒントはイーロン・マスクのテスラにあると思います」と強調する。

 テスラのゴールは自動運転でもEVでもない。彼らのミッションは、持続的エネルギーで賄える世界に変えることだ。

 脱炭素化実現のためには太陽光・風力などの再生可能エネルギーに頼らなければならない。ならば条件が悪い時でも電力を供給できる安価なバッテリーが必要になるが、その市場を作るためには、高くてもニーズがあるバッテリーの市場をまずは作らなければならない。

 そこでテスラは、富裕層をターゲットにしたEVのスーパーカーに着目した。非連続なイノベーションに対して、その前段となる事業において、戦略的に勝てる仕組みを構築し、安価なバッテリーの市場創出を試みたのだ。

「もちろん、日本企業の1社1社がこうした産業変革を起こすのは難しいでしょう。我々はイーロン・マスクにはなれないかもしれない。しかし、彼らが起こしていく世界の変化は予測できます。EVが台頭すれば、自動運転OSをつくれる企業、センシング技術を持つ企業、アプリケーション開発に長けている企業などに競争優位性が生まれる。イノベーションは目的によってレベルが変わり、レベルによって激震地が変わる。激震地を先読みしておけば、たとえ小兵でもそこで勝負に挑めるわけです」(尾原氏)

 日本企業に求められているのは、組織風土の変革だ、と尾原氏は結論付ける。

「これまで日本企業の成功方程式は、失敗を減らすための密連携、すなわちピラミッド型の組織運営でした。だからこそアップルのように、バリューをネットワーク化しさまざまなところと提携しながら作っていくような組織に弱いと言えます。これからはそれを課題ととらえ“多産多死”を恐れない、フラット型の組織運営が必要でしょう」(尾原氏)

 2008年のリーマンショックの後、スマートフォンとソーシャルが成熟期に入り、その前に起業していたGAFAMは飛躍的成長を遂げた。2020年はコロナ禍でリモートワークへの強制的な進化が起き、5G、IoT、AI、VRなどの成熟期に入っている。これから世界はDXの2回戦に突入する。日本企業はこの機をチャンスへ変えていかなければならない。

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