- 2025/06/30 掲載
鉱工業生産5月は2カ月ぶり微増、自動車など寄与 判断は据え置き
Tetsushi Kajimoto
[東京 30日 ロイター] - 経済産業省が30日発表した5月鉱工業生産指数速報は前月比0.5%上昇し、2カ月ぶりの増産となった。生産用機械などのほか自動車工業でも生産が増えたが、経産省によると大きな動きはなく、基調判断は「一進一退で推移している」で据え置かれた。同省は昨年7月以来、11カ月連続で同じ判断を維持している。
指数の上昇に寄与したのは金型・ショベル等掘削機械などの生産用機械工業(前月比5.6%増)、軸受け・圧縮機等の汎用業務用機械工業(同4.5%増)、自動車工業(同2.5%増)など。
経産省幹部によると5月は「特に大きな動きはなかった」といい、全体としての生産は微増にとどまった。ロイターの事前調査では同3.5%上昇と予想されていた。
生産予測指数は6月が前月比0.3%上昇、7月が同0.7%低下となった。経産省は「見通しは上振れ含み」としており、6月は一転マイナスとなる可能性もあるという。
出荷は2.2%伸びて2カ月連続の増加、在庫は1.9%減と2カ月連続で低下した。「意図せざる在庫減局面」にいると経産省はみている。
米国の関税措置の影響について経産省幹部は「個別ではいろいろな声が出てきているが、直接的に悪い影響かどうかは判然としない」と指摘。その上で「生産は必ずしも弱いとは言い切れず、在庫・生産・出荷のサイクルでみると悪いポジションではない。ただ、今後は昨今の米国や中国を巡る経済情勢が日本の生産の重しとなる恐れはある」との見方を示した。
農林中金総合経済研究所の南武志理事研究員は、トランプ減税が生産に与えている影響は「かなり限定的」とみている。現状は「各社損切り覚悟で米国向け自動車の価格を落としており、その分収益は落ちるが数量ベースでは変わっていない」といい、「生産は踏みとどまっており、まだまだ(関税の影響に対する)本格的な動きというものは起きていない」と指摘した。
*経産省の発表資料は以下のURLでご覧ください。
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/index.html
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